どうなる「2万円到達後」の日本株 秋以降、消費拡大 いざなぎ景気越え期待
円高リスク後退
一方、ドル・円相場については、株価の足を引っ張ってきた「円高」が今年4月17日に1ドル=108・1円台を付けたあと落ち着きを取り戻し、直近では1ドル=111円台前後で推移していることも為替変動リスクの後退につながっている。 日本銀行が4月2日に発表した短観(=全国企業短期経済観測調査、3月調査分)では2017年度の事業計画の前提となっているのは上期が1ドル108.45円、下期は1ドル=108.42円。このレベルよりも円安で着地するようだと、もともと円高抵抗力がついている輸出型製造業の業績は、さらに明るさを増していく。 もちろん、楽観材料ばかりではない。トランプ政権の先行きや地政学的リスクは引き続き油断大敵。学校法人「加計学園」をめぐる問題が響き、安倍内閣の支持率は大きくダウンし、7月2日投開票の東京都議選でも自民党は厳しい戦いを強いられている。都議選の結果次第では、安倍政権の行方に翳りが広がりかねない。 ただ、安倍首相としては、経済対策を強化することで、当面の窮地を打開していく方針とみられ、「政策を買う」マーケットとしてはその限りでは株価を下支えする材料になるだろう。
個人投資家、「焦り」の買いも
株価を探るうえで、もう一つ見逃せないのが、株式をめぐる需給動向だ。4月から現物市場で買い越しに転じた外国人投資家に対し、国内の個人投資家は「株高は長く続かない」という警戒感もあって一貫した売り越し基調にある。 6月以降、外国人投資家は利益確定売りを出しているものの、大手証券では短期的なポジション調整が済めば再び買い姿勢を強める、との観測が有力。同時に、これまでの読みが裏目に出たことで焦りを抱く個人投資家は、この先、買いに回る可能性も出てきた。 こうなると、ロボット、フィンテック、AI(人工知能)、ドローンをはじめとする「移動革命」、「働き方改革」などテーマに絡む個別銘柄に対する循環物色機運は弱まりそうにない。今後、戻り売りをこなしつつ、日経平均2万1000円にトライする場面も想定される。 (証券ジャーナリスト・神田治明)