世界最高峰コンテストで金賞 ペナシュール房総のラム酒 南房総(千葉県)
南房総市の酒造会社「ペナシュール房総」の2023年産のラム酒が、「世界の最高峰」といわれる酒類のコンテストで金賞を受賞した。日本産のラム酒では初の快挙。同社の青木大成代表(50)は、これを「南房総産ラム酒をさらに世界に知ってもらうチャンスに」と意気込む。 同社のラム酒が受賞したのは、1969年に英国で創設された「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション」(IWSC)のスピリッツ(ウイスキー、ブランデーなど)部門。同じ英国の「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」、米国の「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SWSC)」と並び、「世界三大酒類コンテスト」と評される。毎年の受賞結果が世界で注目され、中でもIWSCは歴史と権威を誇るといわれる。 受賞したラム酒は、昨年産の「BOSO Rhum Agricole blanc Soleil‐太陽‐2023」。同社が持つ同市内の約2・3ヘクタールの畑で、農薬を一切使わずに栽培したサトウキビを100%原料につくりだした。 主催者側からの応募の呼び掛けを受け、3月初めに700ミリリットル入りのボトル2本を送り、6月3日に受賞証明書が資料添付されてメールで受賞の通知が寄せられた。 IWSCの審査は、審査員らによる試飲に加え、酒の化学的な分析にも重点を置いているといわれる。青木さんは、受賞したラム酒の特徴について「滋味が多く含まれ、ちょっと潮風を感じるソルティーな味わい」と説明する。 同社にとっては、初めての海外コンクールへの出品。「国内ではまあまあ評判が良かったが、海外でどう評価されるか分からなかった」と青木さん。「ラム酒の原料として、南房総産のサトウキビの適性が世界に認められた。それが一番良かった」と喜ぶ。 同社のラム酒には、受賞前からイタリア、フランスの貿易業者から引き合いがあったという。この8月には2024年産のラム酒を1000~1500本発売する予定。今回の受賞で注目度が高まり、国内外からの引き合いがさらに強くなる可能性があり、「輸出にも力を入れたい」と青木さん。 生産量を増やすには、サトウキビの収穫量を増やす必要がある。このため、青木さんは会社の委託で栽培を引き受けてくれる農家がないか、今後模索する。 また、商品の安定供給に向けて現在、県の「高度・成長研究開発助成」事業に申請中だ。助成金が認められたら、千葉大などと連携してラム酒専用サトウキビの栽培や収穫の増量を目指した研究にも取り組むことにしている。