【解説】元巫女や弓の達人も!天皇皇后両陛下イギリスご訪問にも同行 両陛下を守る“皇宮護衛官”の仕事とは?
陛下からねぎらいのお言葉も
千葉大夢さんは「門の警備をしている時に、皇居内を散策される陛下からねぎらいのお言葉を聞くと、私たちを気にしてくださっていると思うし、仕事のやりがいを感じます」と話し、今は昇任試験の合格を目指して勉強もしているという。 皇居にある皇宮警察本部は両陛下や皇族方の護衛、そして皇居や赤坂御用地、京都御所などの警備を専門に行う警察組織だ。 警察庁の附属機関で、職員は「警察官」ではなく、「皇宮護衛官」と呼ばれる国家公務員となる。明治時代に当時の宮内省に設置され、約140年の歴史を持ち、皇宮護衛官約900人のうち、女性は100人余りいる。 皇居ではそれぞれの門の警備や皇居内は皇宮護衛官、その外側は警視庁の警察官が警備している。また皇宮護衛官の警笛のつり紐の色はワインレッドで「いつわりのない心」を表しているという。 同じく4年目の大平七瀬さんは、上皇ご夫妻や秋篠宮ご一家のお住まいがある赤坂御用地の警備にあたっている。 大学時代に神社の巫女のアルバイトをして神社の行事に関わり、皇室に興味をもつようになったという。また警視庁主催の街頭補導のボランティアにも参加して、皇室と警察活動の両方に関われる仕事をしたいと思うようになり、皇宮護衛官の道を選んだ。 大平七瀬さん: 赤坂御用地周辺は青山通りの買い物客や、国立競技場や神宮球場からの人の流れもあって門の警備をしていても都会の空気を感じられます。道案内も多いし、楽しく仕事に取り組めています。
初心を思い出してモチベーションを
大平七瀬さんは「夜の門の警備でふと夜空を見上げた時は、皇宮護衛官になりたいと思った初心を思い出して、モチベーションをあげています」と話す。 秋篠宮妃紀子さまや佳子さまからねぎらいの言葉をかけられることもあるという。 大平七瀬さん: 無線の声は女性のほうが聞きやすいと言われていて、通信指令を任せられる女性も多くいます。女性にとっても働きやすい環境だと思います。 今は通信指令の競技会での優勝を目指していて、ゆくゆくはパトカーに乗車して、皇居や御用地の警備にあたりたいと話す。 皇宮警察本部に隣接して「済寧館」(さいねいかん)という明治時代から続く歴史のある道場がある。これまでも陛下が観戦される柔道や剣道などの天覧試合が行われてきたが、皇宮警察には警視庁など他の都道府県警察にはない武道がある。それが弓道だ。 根本百合子さんは国体の東京代表として優勝経験もある実力者だ。天皇ご一家が静養される那須御用邸に近い栃木県那須町出身で、父親の影響で高校から弓道を始めた。