『ヒックとドラゴン』監督の新作アニメが傑作だった!トロントでお披露目:第49回トロント国際映画祭
ドリームワークス・アニメーションの新作映画『野生の島のロズ』が第49回トロント国際映画祭で世界初上映された。『ヒックとドラゴン』『リロ&スティッチ』のクリス・サンダース監督がピーター・ブラウンの人気児童書「野生のロボット」シリーズを息をのむほど美しい手描き風アニメーションで映像化しており、涙なしには観られない傑作となっている。 【動画】『野生の島のロズ』特報 命令を受けるために作られたロボットのロッザム7134(ロズ)は、不時着した無人島で偶然起動。野生動物たちの言葉を学んで彼らから命令をもらおうとするが、弱肉強食の世界だけに「怪物」と恐れられて相手にしてもらえない。そんなある日、一つだけ壊れなかったガンの卵をふ化させたロズは、キツネのフィンクにそそのかされ、ガンの赤ちゃんが「食べ」、「泳げ」、「渡りの季節までに飛べる」ようにすることを新たな命令として、奮闘することになる。
サンダース監督は『ヒックとドラゴン』と『リロ&スティッチ』についても敬愛するスタジオジブリの宮崎駿監督からの影響を語っているが、本作においてもロズのビジュアルが『天空の城ラピュタ』に出てくる苔むしたロボット兵そのものになったり、宮崎監督の冒険活劇らしい縦の移動(上下に展開するアクション)が素晴らしく取り入れられていたりする。またCGでありながら手描き風のアニメーションは絵画のように美しく、細部まで魂が宿っており、自然がテーマの一つである本作にぴったりだった。
死が身近に存在する島ということで、ドリームワークス・アニメーションらしいブラックなジョークに笑わされる一方で、ガンの赤ちゃんとちょっと変わった親子となったロズが愛を知っていく過程には目頭が熱くなる。ロボットはプログラムに従い、野生動物は遺伝子に組み込まれた本能に従う。大切なものを守り生き残るために、その“プログラム”を超えようとするロズと動物たちの姿が、これ以上なく生き生きと描かれている。