中国DJIが米国防総省提訴、軍関連企業リスト指定削除を求め
David Shepardson [ワシントン 18日 ロイター] - ドローン(無人機)世界最大手の中国の大疆創新科技(DJI)は18日、米国防総省が同社を「中国軍関連企業」リストの一角に指定したのは「違法で誤った決定」として、同省に削除命令を出すよう求めて首都ワシントンの連邦地裁に提訴した。 商用ドローンの米販売シェアは、DJIが半分以上を占める。ただ、同リストに載せることは、米団体や企業に対して、掲載企業との取引が国家安全保障上のリスクを伴うことを警告する意味を持つ。 DJIによると、国防総省が過去16カ月以上の間、リスト掲載への異議に取り合わなかったため、同社は「連邦地裁に救済を求めるほかなかった」という。 DJIは訴状で「(当社は)中国軍に所有も支配もされていない」と主張した。 さらに、指定を受けたことで「各種の取引を失い、国家安全保障の脅威とレッテルを貼られ、複数の連邦政府機関との契約を禁止された」と列挙。また、「米国や海外の顧客が既存の契約を解消し、新規契約の締結を拒否している」と付け加え、経営に重大なダメージを被っていると抗議した。 国防総省はロイターのコメント要請に即座に応じなかった。 米国と中国の間では緊張関係が続いており、米政府はここ数年間にわたり中国軍を強化する可能性がある中国企業の事業活動を制限。DJIのリスト追加はその一環となる。 既に航空関連AVICや半導体メーカーYMTC、チャイナ・モバイル(中国移動有限公司)、中国国営の中国海洋石油(CNOOC)など多くの大手中国企業がリストに掲載されている。 DJIは米国で一段と大きな圧力に直面。同社がロイターに明らかにしたところでは、「ウイグル強制労働防止法」によりドローン製品の一部が輸入を差し止められている。ただ、DJIは製造工程で強制労働は一切行われていないと反論している。 また、複数の米議員はDJI製ドローンに関し、飛行中に収集したデータの送信や監視活動、国家安全保障などの面でのリスクに繰り返し懸念を表明している。ただ、こうした点も同社は否定している。 米下院は先月、DJIの新製品ドローンの国内運用を禁止する法案を可決した。法案は現在、米上院の審議を待っている。 商務省は先月、中国製ドローンを米国で事実上禁止する制限を課すかどうかについて、意見公募を始めたと発表した。これは中国製自動車に関して提案された制限と似た動きだ。