4月から6月の給与額が増えると税負担が重くなるのは本当?
4月から6月に受け取った残業代が多いと、税金が高くなる という噂を聞いたことはあるでしょうか。 所得税・住民税は1年間の所得金額をベースに算出する 噂をそのまま鵜呑みにするのは危険ですが、噂について少し調べるだけで得をすることもありますので、今回は4月から6月の給与と税金の関係性について解説します。 4月5月6月の給与額が影響するのは「社会保険料」 厚生年金保険や健康保険などの社会保険料は、標準報酬月額をベースに算出し、標準報酬月額は、対象者が受け取る給与を区分した報酬月額に当てはめて決定した額をいいます。 厚生年金保険の標準報酬月額の場合、1等級(8万8,000円)から32等級(65万円)までの32等級に区分されています。 標準報酬月額の対象となる金額は、基本給以外に残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の額であり、4月から6月の報酬月額を基に標準報酬月額の改定が行われます。 したがって、残業等で4月から6月の給与が他の月よりも多くなると、社会保険料が増加する可能性があるので注意が必要です。 所得税・住民税は1年間の所得金額をベースに算出する 社会保険料は4月・5月・6月の給与を基に計算するのに対し、所得税や住民税については年間の所得金額をベースに税額計算を行います。 4月から6月までの給与を減らすことで、社会保険料の額は抑えられます。 しかし、3か月間の給与が減少した額だけ他の月の給与が増え、年間の給与が同額になるのであれば、所得税と住民税の額が減少することはありません。 標準報酬月額の増加がプラスになるケース 社会保険料は標準報酬月額の等級が上がるほど負担が重くなりますので、給与額が増えると損をした気分になるかもしれませんが、標準報酬月額が大きいことがプラスに作用するケースも存在します。 たとえば、厚生年金は加入期間中の標準報酬月額を基に年金の支給額を算出しますので、加入期間はもちろんのこと、支払った金額が多かった人ほど年金の受給額は増えます。 傷病手当金や出産手当金は、標準報酬月額をベースに支給される金額を決定するため、受給条件を満たした方は、支払った社会保険料に見合う額を受け取れます。 損得は個々の事情によって違う 社会保険料の額が増えれば手元に残るお金は減りますので、4月から6月の残業代だけが多かった方は、損をした気分になるかもしれません。 しかし、支払った額が多ければ将来受け取れる厚生年金の額は増えますし、傷病手当金や出産手当金として受け取れる額も大きくなるため、社会保険料の増加が必ずしもマイナスになるとは限りません。 会社員が毎月の給与額や残業時間をコントロールするのは難しいですが、知識が無いと税金対策を講じることはできませんので、税金関連の情報は随時チェックすることをオススメいたします。
manetatsu.com 平井 拓