新築マンションが引き渡し直前に解体されることに 反対派住民も驚き隠せず
東京・国立市の完成間近のマンションが、引き渡し直前に解体されることになり、驚きが広がっています。現地で何が起きたのでしょうか? 【画像】急転直下、新築マンション解体へ 富士山見えなくなること以外の理由は…
■専門家「非常に珍しいケース」
近隣住民のポストには、こんな書面が投函されていました。 近隣住民 「今月6日、この手紙(事業中止のお知らせについて)が入っていた。翌日に、これ(建物解体に向けた準備のお知らせ)が入っていた」 解体されるマンションは地上10階建て。富士山の眺望が臨めることを売り文句として販売されていました。 マンションができる前の写真です。 完成すると正面に見えていた富士山が、半分近く隠れてしまいます。 「関東の富士見100景」にも選定されていたため、市民は嘆いていました。 市内に住む人 「寂しくなったかな。半分、富士山が消えちゃったと話していた」 そんななか、完成目前のマンションが解体されることになったのです。 市内に住む人 「建てたものを壊すのは無駄。買うことを決めて、お金を払っていた方もいると思う。7月から入居と聞いていた。どうなるんだろう」 不動産の専門家は、「非常に珍しいケース」だと話します。 さくら事務所 長嶋修会長 「反対運動があるのは珍しくない。最終的に、事業者側が事業をあきらめて解体までするのは、よっぽどだと思う。聞いたことがない」 どのような経緯があったのでしょうか?
■「富士山見えなくなる」だけではない…切実な理由
そもそも、この地域には高さに関する制限はありません。しかし、マンション建設が計画されると、市民から反対の意見書が出され、2021年には市の審議会でも、議論が行われました。 市の審議会資料 「住宅地が形成されているなかで、30メートルを超える建物が目の前に建つという状況に対する配慮を慎重に考えなければいけない」 さらに近隣住民を取材すると、富士山が見えなくなるだけでなく、切実な理由もあるといいます。 マンション建設に反対していた住民 「問題は富士山ではない」 「うちは午前10時~午後2時まで日陰になる。冬は真っ暗で、雪がとけなくて大変」 近隣住民 「富士山の景観が損なわれるというのは、あまり聞いたことがない。マンションの北側に建っている戸建てに、日が当たらなくなってしまうとか、マンションの高さが高いので、プライバシーが守られない」 日照がなくなることが、より大きな問題だといいます。 反対住民 「富士山が見えなくなって残念と同時に、それぞれの家が日陰になって困る」