「なんとか粘ってくれ!」永島まなみ&アリスヴェリテ大逃げで重賞初制覇/マーメイドS
<マーメイドS>◇16日=京都◇G3◇芝2000メートル◇3歳上牝◇出走16頭 デビュー4年目の永島まなみ騎手(21=高橋康)が4番人気アリスヴェリテ(牝4、中竹)で大逃げを決め、10度目の挑戦で重賞初制覇を果たした。 【写真】関係者に握手を求められ、笑顔で手を差し出す永島騎手 好スタートでハナを奪うと、道中は軽ハンデ50キロを生かしてセーフティーリードを保ち、2馬身差で押し切った。JRA所属の日本人女性騎手では84年グレード制導入後3人目の重賞勝利となった。 ◇ ◇ ◇ 後ろから迫る足音に、乙女たちはひるまなかった。「なんとか粘ってくれ!」。永島まなみ騎手の必死たる鼓舞にアリスヴェリテも応える。後続が追えど追えど、縮まらないその距離。先頭の景色を誰にも譲らなかった。 引き揚げた鞍上は小さくも力強くガッツポーズ。何度も馬をなでて、念願の重賞初勝利をかみしめた。「すごくうれしいです。デビューからG1、重賞もたくさん経験させていただけたから、今の私がいると思います。支えてくださった関係者の皆さまに感謝の気持ちでいっぱいです」と朗らかな笑顔を見せた。 直近3戦に乗っていたルーキー柴田裕騎手からも話を聞き、アリスヴェリテのリズムで走らせることに専念した。ポンとゲートを出ると、二の脚でスムーズにハナへに立ち、大きなリードを取った。1000メートル通過は58秒3。「ペースが遅いわけではなかったので、馬もちょっとしんどくなっていましたが、頑張ってくれた馬の力に感謝したいです」とテン乗りとなった相棒をたたえた。 ゴール板を過ぎれば、坂井騎手、西村淳騎手、川田騎手など先輩ジョッキーから祝福を受けた。スタンドからも「まなみん、おめでとう!」という声援があふれた。それでも、浮かれることなく謙虚に自分自身と向き合う。「デビューの頃と比べると、できることは増えていますが、細かい技術はまだまだなので、そのあたりを磨いていきたいです」。 JRA通算100勝まであと3勝と節目の勝利も近づく。重賞制覇は通過点。「普段のレースでもしっかり結果を出せるように、1つ1つの積み重ねを大事にしていきたいと思います」。タイトルを1つ手にした彼女は、これからも進化し続ける。【下村琴葉】 ◆永島(ながしま)まなみ 2002年(平14)10月27日、兵庫県生まれ。21年3月にデビュー。昨年は自己最多の50勝。趣味はピアノと料理、特技は水泳。好きな芸能人はSnow Man目黒蓮。159・8センチ、45・4キロ。 ◆アリスヴェリテ ▽父 キズナ▽母 ルミエールヴェリテ(コジーン)▽牝4▽馬主 加藤誠▽調教師 中竹和也(栗東)▽生産者 ノースヒルズ(北海道新冠町)▽戦績 19戦4勝▽総獲得賞金 1億1734万1000円▽馬名の由来 高貴な、永遠の少女などの意味の人名より+真実(仏)。永遠の真実 ◆女性騎手のJRA重賞勝利 R・ロケット騎手(02年中山大障害ギルデッドエージ)、藤田菜七子騎手(19年カペラSコパノキッキング)、今村聖奈騎手(22年CBC賞テイエムスパーダ)、R・キング騎手(24年AJCCチャックネイトなど2勝)に次ぐ5人目。JRA所属の日本人では3人目となった。永島騎手は10度目の騎乗で、これまでは23年新潟2歳Sの4着(ルクスノア)が最高だった。