「中森明菜」や「中島みゆき」の人気曲に世代間で大きな差が! 平成生まれのカラオケ愛好家らと、人気の昭和曲ランキングを考察
他にも、平成世代の女性版ランキングでは、近年のシティ・ポップ・ブームで話題の泰葉「フライディ・チャイナタウン」が第24位にランクイン。こちらが稀代の大ヒット曲である山口百恵「プレイバックPart2」(女性版第22位)と肩を並べているのも面白いし、平成世代第12位(全年代でも10位)の久保田早紀「異邦人」については、3人が「昭和とは意識せずにカッコいい曲と思っていました!」と口を揃えるなど、平成世代ならではの“昭和感覚”は実に興味深い。筆者は昭和の人間だが、こうやって平成生まれのメンバーと話をしてみると、それぞれ独自の解釈で楽しみつつも、名曲であるという感覚が一致する瞬間が多々あることにも心が弾んでくる。読者の方々にも、昭和楽曲を歌ったり聴いたりすることによる、世代を超えたコミュニケーションをオススメしたい。
カラオケ好きの平成っ子らが昭和の楽曲に魅了される“納得の理由”
最後に、昭和の楽曲ならではの魅力を平成っ子の3人に尋ねてみた。 「歌いやすい、覚えやすい、みんなと共有しやすい。私たちはバブルも経験していないし、リーマンショックもあったし、全体にいい思い出がありません(苦笑)。けれど、昭和の楽曲には夢を見ているかのようなワクワク感があります!」(C) 「歌詞や歌い方、編曲のいずれもストレートで、とても理解しやすい。最近の曲は、1番と2番とで曲調がガラッと変わるのも多いですから、歌いにくいんですよ。あと、今は男性ならキー高め、女性ならキュートに、と歌い方がだいたい決まっていますが、当時はみなさん、歌声が個性的ですよね!」(A) 「上位にある昭和楽曲は、どれも歌詞やメロディーが素晴らしいので、半永久的に残っていく気がしました!」(M) 平成世代にとってのカラオケは、“みんなと共有したい”、“みんなと楽しみたい”という要素がいっそう強く、その点で昭和楽曲の覚えやすく、忘れにくい、という楽曲自体の魅力がしっかりと伝わっていることに感動すら覚えた。まさに、昭和楽曲を歌えば楽しさは2倍、悲しみは1/2といったところだろうか。 だからこそ、アーティストたちは、目先の売り上げにとらわれず、時代を超えた名曲を作り続けることを見据えてもらいたい。同時に、彼らが所属する事務所やレコード会社には、楽曲のリバイバルやカバーなどで継続的に、その貴重な財産を丁寧に語り継いでいく義務があると強く感じた。 (取材・文:人と音楽をつなげたい音楽マーケッター 臼井孝)