戦力外となった2人の“一軍未出場選手”のドラマ 健大高崎が投手王国になった礎を築いた大型左腕、千葉の規格外捕手の足跡【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.41』】
外部指導者の存在で規格外の大型捕手へ成長した村山亮介
続いてはロッテ3年目育成の村山亮介捕手(幕張総合)です。彼の名前を聞いたのは、21年冬ぐらい。全国的にはノーマークでしたが、185センチ107キロの規格外の大型捕手としてスカウトが密かに注目している逸材でした。 私の地元・千葉の逸材を見逃すわけにはいきません。4月の県大会前には成田との練習試合がありましたので、幕張総合グラウンドで彼の打席を見ました。滞空時間の長いフライを放ち、力強いスローイングが印象的でした。 練習試合の合間や、練習試合の後に話を聞くと、村山選手は外部指導者から打撃指導してもらう中で、体の使い方を学び、本塁打量産につなげたといいます。同校を指導する柳田大輔監督は積極的に強豪校の監督やトレーナーと積極的に交流する指導者でした。 今でこそ外部指導者の存在が注目されるようになり、トレーナー、各野球部のSNSを見ると、そうした指導者から学んでレベルアップしている様子が見受けられますが、幕張総合の柳田監督はその先駆けで、村山選手はいろんな指導者の中から学ぶ中でプロ注目選手へ成長しました。 迎えた21年ドラフトではロッテから育成4位指名を受け、プロ入りの夢を叶えることができました。今まで取材したドラフト候補の選手の中でも、当時としては村山選手のストーリーは異例で、外部指導者、トレーナーによって大きく成長するドラフト候補が増えていくことを予感させました。 幕張総合で村山選手の2学年下の早坂 響投手は2年秋まで捕手だったのが、強肩を買われて投手に転向し、トレーナーの指導で最速151キロの剛腕へ成長。ロッテから昨年4位で指名されました。 村山選手は今年、二軍11試合で15打数2安打、1本塁打、2打点に終わり、戦力外となりました。成績上、退団になるのは仕方ありませんが、プロ入りまでの軌跡、プロ3年間の奮闘の日々は幕張総合野球部の後輩たちにとっては大きなものだったに違いありません。 今回、取り上げた2人は一軍出場はありません。ただ、2人は母校野球部のウリ、カラーを作るきっかけとなった選手でもありました。 これからもどのような立場の選手でも、その選手の功績を伝えていきたいと思います。