小泉今日子&小林聡美、物語の魅力は「55歳の親友っていうのがちょと一味違う」「団地の人たちとの関わり合い方が温かく描かれている」<団地のふたり>
小泉今日子と小林聡美が出演するプレミアムドラマ「団地のふたり」(夜10:00-10:49、NHK BS/NHK BSP4K)の第2話が、9月8日(日)に放送される。第2話放送直前に行われた合同取材会に小泉と小林が参加し、作品の魅力やお互いの関係性について語った。 【写真】一緒に食事をするノエチ(小泉今日子)となっちゃん(小林聡美) ■プレミアムドラマ「団地のふたり」とは… 同ドラマは小説家・藤野千夜の同名小説が原作。50代、独身、実家暮らしである幼なじみの野枝(小泉)と奈津子(小林)が織りなす温かくユーモラスな友情物語。結婚や仕事などでさまざまな経験をし、訳あって生まれ育った団地に戻ってきた二人が“団地コミュニティー”で助け合いながら暮らす姿を描く。 小泉はノエチと呼ばれる太田野枝を演じる。かつて神童と呼ばれた優等生で、大雑把なようでいて真面目な性格のノエチはバツイチで、今は大学の非常勤講師として働く。そして、小林はなっちゃんと呼ばれる桜井奈津子を演じる。几帳面で料理上手のなっちゃんは独身で、イラストレーターとして働くも、最近は仕事が減りフリマアプリで生計を立てている。 ■小林「会話の量と会話の雰囲気でドラマのテイストが決まっていく」 最初に脚本を読んだ時の感想を小泉は「すでに原作を読んでいたので、ドラマ化するとどんな脚本になっていくのかな?と思っていました。第1話の脚本に関しては、原作に詰まっているものが全て入っていたので、このあとどうなるのかなと思いました」と振り返った。 そして、小林は「原作の雰囲気をちゃんとうまくドラマの台本として仕上げて下さっているなと思いました。また、日常のお話なので余白の部分がすごく多くて。二人のやり取りが多かったので、これは大変そうかもしれないと思いましたし、会話の量と会話の雰囲気でドラマのテイストが決まっていくだろうなと思いました」と当時の気持ちを明かした。 ■小林「一人を分けて二人にしたみたいな感じあるよね!」 ノエチを小泉、なっちゃんを小林が演じることについて、小泉は「原作を読んでいる段階で、”どっちがどっちの役だと思う?””どっちもありなんだよね””どっちになるんだろうね~”なんて、話をしていたくらいなんです。だから、二人をまぜて、ぐわーってして一つのキャラクターみたいな感じです」と笑顔を見せ、小林も「一人を分けて二人にしたみたいな感じあるよね!どっちがどっちをやっても違和感なくできたんじゃないかなってぐらいに、近しいところのテイストがある役だなって思います」と同調した。 また、過去に共演経験がある小泉と小林。今回、幼なじみという役どころでの共演はいかがでしたか?と尋ねられると、小泉は「(小林さんと私は)本当に同じ学年なので、歌の話とかパッと出た話題でも、勉強しなくても、何も打合せしなくても合わせられる。元々、幼なじみ感は持っているかもしれないです。それは役を作っていくうえや、台本をどう面白くしようかなって考えた時に、ストレスなくできたことでした」と語った。 ■小泉「実際に、出会った時は16歳くらいだった」 10代で出会い、それからさまざまな作品で共演をしてきた二人。小泉が「実際に、出会った時は16歳くらいだったので、もう幼なじみに近いかもしれないです(笑)。16歳で初めて作品で出会って、20代、30代、40代、50代とちょっとずつ一緒にやった作品が増えていってね」と話すと、小林は「10年ごとぐらいにね(笑)」と笑顔を見せた。 そして、小泉は「(私たちは)知り合いではあるけど、しょっちゅう会ったりとか、メールとか電話をするってほんとにないです。お仕事をしている時は楽しいけど、お互いのことは知らないことが多い。でも、子どもの頃に見ていた世界が共有できるのはラッキーかなと思います」と語り、小林は「嫌なこととか、これは恥ずかしいなっていうことが合っている。そういうセンスが近いので、やっていけると思います」とコメント。 ■小泉と小林、お互いがどんな存在か語る 小林は、小泉について「仕事場で小泉さんの生き様みたいなのに触れると、いい加減じゃいられないなって。といいつつも、とほほな所もあったりして(笑)。そんなところに気付けるのも長い間、ちょっとずつちょっとずつ一緒に仕事に取り組んできたから感じられることだと思います。あと、小泉さんは”大丈夫だよ!”と言って、私の足りないところを大きな懐で支えてくれるので、”いいんだこれで”って思える、そういう安心感があります」と笑顔でコメント。 一方、小泉は「小林さんはいつもどんな時も私を肯定してくれるんです。否定をしないんです。それがどんなに嬉しいか…。”そんなことないよ~”とか言ってくれて、絶対肯定してくれるのがありがたいと思っています」と小林へ感謝を口にした。 ■小泉「私が特に印象に残っているのは、親の介護問題を扱う回」 団地が舞台の同ドラマ。小林は「ロケ地にさせていただいた団地は、皆さんが丁寧に手入れをされていて。大事に住んでいるなという気がよく流れている団地だったので、ああいう団地は住んでみたいなと思いました。過疎になっている団地もみんなで整えることで付加価値がついて、もっと若い人も住んだりして。そこでコミュニティーが完成するような団地がもっとできたらいいのになって思いました」と思いを明かした。 また、今は団地の高齢化や過疎化が話題となっているが、小泉は「原作では描き切れなかった団地というコミュニティーを通して見えてくる社会っていうのは、ドラマの方でフォローできているなって思います。今後、ドラマの中でいろんなキャラクターがゲストで出てくるんですけど、社会に通ずる問題がいろいろゲストによって絡んでくるという作りになっています。私が特に印象に残っているのは、親の介護問題を扱う回。自分もその経験をしているので、切実だなって思いながら撮影していました」と撮影を振り返り、小林も「ちょうど私たち世代は親の高齢と向き合う世代。そういう現実をドラマではハートウォーミングに届けられているのかなって思います」と話した。 ■小林「なっちゃんの衣装はすごく可愛くて好きなファッション」 部屋のセットについて、小泉は「セットに関しては、プロデューサーさんのこだわりがあるそうでそこはお任せしました。ただ、ノエチとなっちゃんの家以外にもいろんなゲストの方のお家があって、ものすごくおしゃれなお家になってたり、引っ越してきたばかりで何もないお家だったり。同じ間取りでいろいろ生活があるのは団地ならではで、そこをお伝えできるのは面白いし、同じ団地ならではの楽しみだと思います」とコメント。 さらに、衣装について小泉は「みんなで一緒に衣装合わせをしたので話し合いながらできていきました。なっちゃんの衣装がわりとガーリーだったので、ノエチの方はボーイッシュにしようみたいな話をしました」と語り、小林は「なっちゃんの衣装は50代の方の参考になってますか?(笑)。ジャージにワンピースにズボン履いていたりとか…。私はすごく可愛くて好きなファッションですし、毎回、今日はどんなの着せてもらえるんだろうって楽しかったです」と振り返った。 ■小泉「先輩方の話を聞ける機会があるのは嬉しい」 小泉演じるノエチの両親役に橋爪功、丘みつ子が出演。さらに、ご近所役を由紀さおりや名取裕子が務める同ドラマ。ベテラン勢との共演について、小林は「最近、どの現場にいっても私たちが最年長だったりするので、今回は久々に後輩気分を楽しみました」と嬉しそうな表情を浮かべた。 そして、小泉は「先輩方はほんとにお元気で、おしゃれで素敵で、そういう話を合間にお聞き出来て幸せでした。先輩方の話を聞ける機会があるのは嬉しいです。また、杉本哲太さんや仲村トオル君とかは、実際に同級生だったりするので、4人で話してる時は同窓会的な感じでした」と笑顔で語った。 ■小林「心身ともに健康でいられることが、ちょっとした自分の余裕にもなる」 それぞれが考える幸せについて聞かれると、小泉は「ノエチとなっちゃんは、団地の中ではまだ中堅みたいな場所にいて。独身で子供もいなくて、世の中の役に立つことが少ないなと思っている中で、先輩方の何かお手伝いができたり、若い人と先輩の懸け橋になったり。そうすることが自分たちの中で幸せに感じたり、された人たちもちょっと幸せになれるということが、この物語の中で循環している。私自身が幸せだなって思うのも、ノエちゃんと同じで、この世界で生きていて、健康で、自分が出来る事が見つけられるっていうのがやっぱり自分にとっての幸せかなと思います」と明かした。 続けて、小林も「幸せの循環って言葉でいうと、自分がしてもらってちょっと嬉しかったことを人にも同じようにちょっと優しくしてあげる。それが循環していくのがいい流れなのかなと、小さなことでは思いますし、なにより心身ともに健康でいられることが、ちょっとした自分の余裕にもなるし、余裕があると人のことも考えてあげられる。そういうところから幸せがちょっとずつ広がっていくのではないかなと思います」と話した。 ■小泉「自然があるところとかに住むのがいいな」 また、丁寧でシンプルな暮らしが描かれている同ドラマにちなみ、今後どんな暮らしをしたいとの質問が。小泉は「ノエチとなっちゃんは55歳ですが、私たちはまもなく60歳なのでこれからどんな暮らしをしようかなというのをちょうど頭の中で考えていました。やっぱり自然があるところとかに住むのがいいなと感じています」とコメント。 小林は「丘さんが実際にそういうところお住まいになられていて。でも、一人だと体力的に難しいという現実もあったりして、そのあたりをどうするかが今の問題です」と語った。 ■小泉「55歳の親友っていうのがちょと一味違う」 改めて、物語の魅力を小泉は「同性の友達同士のシスターフッド的な物語って、いろんな世代で作られてきたと思うんですけど、55歳の親友っていうのがちょと一味違う。それぞれ別の場所に行っていろんな経験をして、そのうえで戻ってきて、二人の時間があるっていうのは、ちょっと違う味わいになっているなと思います」とコメント。 また、小林は「団地と言う環境の中でいろいろな人が暮らしていて、その人たちとの関わり合い方が温かくて、今の時代にみんなが求めているような関係性が描かれているところが魅力の一つかなと思います」と話した。 ■小林「いつのまにか50代になったらこんなに楽になってたよ、みたいな」 最後に、若い世代へ向けて小林は「なっちゃんやノエチのドラマの中でもそうですけど、20代、30代ってそれなりに大変なことがあったり、悩んだりもがいたりすることがあるかと思うんです。でも、いつのまにか50代になったらこんなに楽になってたよ、みたいな、ことが待っているかもしれれないですよ!」と笑顔を。 そして、小泉は「今の若い方って、昭和の頃とかの文化に興味を持って、ネット上でタイムトラベルしてる方が多いと思うので、そういう人たちにはグッとくる歌や家電などのアイテムとかいっぱい出てくると思うので、そこを注目してほしいです」と呼びかけた。