重度障害者が暮らすシェアハウス 入居した脳性麻痺の息子を持つ母「還暦を過ぎて、身体的なケアが難しい」「(息子は)楽しそうにしていて、いろんな人と出会いが増えた」
■シェアハウスで暮らし始めた、重度の障害があるタカシさん(仮名)31歳
脳性麻痺による重度の障害があるタカシさん(仮名)31歳は、今年6月からシェアハウスで暮らし始めた。母親のキノシタさん(仮名)は「私たちも還暦を過ぎて、正直身体的なケアが自分たちには難しいので、何か次の方法を考えなくてはいけないと思った。理想は最後まで地域の人や家族と当たり前のように暮らすのが夢だった」。
グループホームや施設ではなく、シェアハウスを選んだ理由は「息子がコミュニケーションの療育を受けていた時にみんなで暮らしたいと言った。最初は家族みんなでずっと暮らすのかなと思ったが、だんだんヘルパーさんとの時間を大事にしたいようで、私がいると“ママ、あっちいって”というそぶりを見せてきた。なので、ヘルパーさんと一緒に過ごすのが、彼にとっていい時間だと感じた。そういうシェアハウスが理想だと思っていたところに、たまたま見つけた」と説明する。
ヘルパーは毎回違う方なのか。キノシタさんは「同じヘルパーさんを希望していたが、やはりヘルパー不足で、来てもらえる時間数が決まってしまったので、1社だけでは駄目で、結局4社ぐらいから来てもらうことになった」と答えた。 タカシさんの反応は「元々、家族以外の人に対して拒否反応がある子だった。それでは将来困るので、なるべく小さいうちからいろんな人に接するようにしてきた結果、人が好きになった。だから、いろいろなヘルパーさんにきてもらうのが、彼にとっても喜びがある」「私が見ている限り、楽しそうにしていて、いろんな人と出会いが増えたのではないかと思う」と述べた。
■介護の未来の仕組み
「介護労働安定センター」によると、訪問介護員の人手不足を感じる事業所は約8割。「厚生労働省」によると訪問介護の求人倍率は15倍に上るという。 人手不足について、熊谷氏は「事業者によるヘルパーの囲い込みで、必要な場所に人材が行き渡っていない」と考えている。ヘルパーの約8割は非正規雇用で、人手確保のため守秘義務を口実に他社で働かせない。そのため時間があるのに働けない実態があるという。 SBテクノロジー、セキュリティーリサーチャーの辻伸弘氏は「介護の仕事をされる方は、どうしても得られるお金が少なく、人もなかなか集まってこない。仕組みを作ることで、うまくマッチングして、複数掛け持ちできるようにするなど、将来的に考えていらっしゃるのか」と問いかけた。
熊谷氏は「大きなユニオンのような形を作って、(事業者が、ヘルパーを)シェアするような形ができればいい」と答え、「既存の法整備だと、どうしても囲い込み、ヘルパー会社一つひとつが、個人情報保護の観点に立って、他の事業所では働いてはいけない形を取る。なので、介護士が足りないと言われている世の中だが、今は約250万人の介護に携わる方がいて、介護を受ける方が約700万人なので、できないわけがない」との見方を示した。 (『ABEMA Prime』より)