不思議博物館分室へようこそ ありえない昭和の写真を展示中/福岡市・天神
異空間で広がる交流
営業は原則、土~月曜と祝日(12~18時)のみ。「不思議」「怪しいカフェ」「福岡」といったキーワードで検索して、訪ねてくる人も多いとのことだ。 床にもテーブルにも白いタイルが貼られた店内に入るとすぐ、手術室にある医療用の照明が目にとまり、びっくりする人も少なくないそうだ。来店客の6割は県外からで、SNSで知って韓国や中国からやってくる旅行客もいるという。
取材で訪問したのは土曜の正午。しばらくすると福岡市内や広島市からの男性客が入店してきた。「サブカルや怪しげな漫画など、趣味が近い人が集まる」ため、初対面でもすぐに話が通じるのが、この店の魅力の一つ。知らない人同士が打ち解けられるように、店長も上手に相づちを入れながら会話を弾ませていく。
その店長、元々は「役者」だという。今は「心霊モデル」としても活動し、妄想心霊写真の展示会を東京や大阪で開いているそうだ。柔和な表情で調理から接客まで一人でこなす白衣の店長だが、黒い瞳の奥にミステリアスな雰囲気も漂う。
お薦めの一品を注文すると、「いちごクリームソーダ」を用意してくれた。器が大きなビーカーで、通常の2倍はありそうなボリュームだ。見た目だけではなく味にもこだわり、高級感を出すために「ちょっとお高い」シロップを使っているそうだ。
メニューには「食用脳みそパフェ」など、注文するのに躊躇(ちゅうちょ)してしまいそうなものも。昭和のイメージを大切にするため支払いは現金のみで、おつりは医療用のトレーで返してくれる。
架空昭和史の「犬築」
「はじめはドキドキしたけど、入ってみたら意外と明るくて落ち着いた雰囲気」という声も聞かれるカフェ兼ギャラリー。ここで7月29日まで、架空昭和史作家・西川真周さんの「AI犬築写真展」を開催しており、1人1オーダーで作品を堪能できる。
架空の世界をリアルに表現した作品に、角さんが魅了されて実現した写真展。西川さんの設定によると、「犬築」とは1970年代にブームを巻き起こした建築様式で、犬の形をした建造物が各地に広がったそうだ。写真展会場にはAI(人工知能)を駆使した作品が並び、「まったく見たことがないのに、なぜだかすごく懐かしい」と錯覚しそうな世界を楽しめる。