南海電鉄・通天閣観光の株70.8%を取得し子会社化 両社が合同記者会見で発表
大阪・新世界の観光スポット「通天閣」(大阪市浪速区)を運営する通天閣観光と南海電鉄は4日午後、合同記者会見を開き、南海電鉄が通天閣観光の株式70.8%を取得し、子会社化すると発表した。 【動画】通天閣観光の株70.8%を南海電鉄が取得 通天閣観光と南海電気鉄道が合同記者会見(2024年12月4日)
会見では南海電鉄の大塚貴裕常務が株式取得の経緯を説明した。 大塚常務は「南海グループではなにわ筋線の開業に向けて、沿線を磨く10年に向けて取り組んでいる。事業拠点であるなんばについては、なんばターミナルを起点に不動産開発、周辺エリアとの競争によるエリアマネージメントに取り組んでいる。その中でも特になんばから新今宮、新世界エリアにつながる南北ラインの活性化を展開している」と述べた。 また「こうした中、新世界エリアや事業のさらなる発展を検討していた通天閣観光と話をする機会があり、エリアを第一に考えている両社が保有する様々なリソースを一体化することが双方にとって最善」などと語った。
通天閣観光の高井隆光社長は「お互いの関係性の中で歩み寄り協議を重ね最終決断に至った」と語るとともに、今後の体制については「わたくし高井が引き続き決意を持ちまして通天閣の運営にかかわっていく」とした。 会見では南海電鉄の岡嶋信行社長も出席。今回の交渉について「今年のゴールデンウィークごろから始まり、話し合いの中で徐々に具体化してきた」と話していた。
通天閣観光の現経営陣の今後について、南海の岡嶋社長は「高井社長が残られたうえで、役員が派遣される。現状の通天閣観光様の経営陣の方につきましては、ご本人のご意向も踏まえたうえで、さらに我々としてはこれまでのいろいろな地元との関係性とか経営のノウハウをお持ちなので、そういうところを引き継いで活用していく上でも、経営陣には残っていただいて、そして南海からもシナジー効果をより強く発揮するために人材を投入してみんなで盛り上げていきたい」と説明した。
また、報道陣からは通天閣に大きく掲げられている日立の看板について、これからどうなるのかという質問があった。 それに対し、通天閣観光の高井社長は「今後も継続して、引き続き大阪の灯を守っていただくことになっています」と答えていた。
会見では別の報道陣からも「70%の取得ということで、残りの追加取得を考えているのか。通天閣観光は、地元の住民の株主も多くいると思うがそのあたりはどうなるのか」という質問があった。 それに対し、南海の岡嶋社長は「通天閣観光については、戦後の再興の際に地元の方からの出資をそれなりにお受けされたという経緯を認識しておりますので、そういったところは尊重したいと考えていますが、現在のところ、少数株主様への対応については今後検討してまいりたい」と答えた。また、追加出資もあるのかという問いには「そちらも今から検討したいと思います」と答えていた。