「生まれ変わっても店の続きを」 11月末で引退する有田正博さん 熊本市中央区・シャワー通り「PERMANENT MODERN」 セレクトショップの草分け
熊本市中央区新市街のシャワー通りにある「PERMANENT MODERN(パーマネントモダン)」が11月末で営業を終える。代表の有田正博さん(72)は、東京に先駆けてインポートブランドを仕入れ、最先端のファッションを提案してきたセレクトショップの草分けで、業界でも一目置かれる存在。引退を決意した有田さんに今の心境を尋ねた。 ─引退を意識したのはいつごろですか? 5年くらい前でしょうか。取引をしたいと思う、意志のある作家やデザイナーが徐々に減ってきているところにコロナ禍が重なったのがきっかけです。子どもの頃から磯釣りが好きなのですが、かなり体力を使うので、元気なうちに思い切り釣りを楽しみたいとも思い、引退を決めました。 ─引退を知った常連さんたちの反応は。 土日を中心に、信じられないくらい押し寄せています(笑)。 ─ファッションに目覚めたきっかけを教えてください。 中学3年の時、八代市から熊本市に引っ越しました。沖縄から熊本に引っ越してきた同級生がいて、彼らがはいていた米軍配給のジーンズを「かっこいい」と思ったのが最初ですね。九州学院高を卒業してすぐ東京のメンズショップで働き始めたので、もう50年以上この仕事をしていることになりますね。
─時代の流れを読みながら、シャワー通りで唯一無二のセレクトショップを経営し、全国的にも注目される熊本のファッションをけん引してきました。 最初の店は、24歳で始めた「OUTDOOR SPORTS(アウトドアスポーツ)」です。渡米をきっかけにアメリカの新しいライフスタイルを紹介したいと思い、1976年にオープンしました。同年創刊された雑誌「POPEYE(ポパイ)」掲載の商品をほぼ同時並行で置いていたので、「東京に行かなくても買える」と注目を集めました。 僕は服そのものだけでなく、このファッションが何で生まれたのか、経済的、社会的な背景に興味があるんです。その国の音楽、映画、デザイナーの人となりとか。79年にオープンした「BLAZE(ブレイズ)」に通うお客さんは高校生が中心で、接客時にはそういう話もたくさんしました。彼らはそういうものに、ものすごく刺激を受けたと思うし、今、いろんな業界の第一線で活躍しています。東京の同業者から「BLAZEは学校だね」と言われていましたね。