雰囲気が明るくなった訳…米女子ゴルフで快挙達成が迫る西郷真央が語る「ゴルフに懸ける日々」の充実感
ガラリと変わった雰囲気のナゾ
34年ぶりの快挙が目前に迫っている。 今季から米女子ゴルフツアー(LPGA)を主戦場にする西郷真央(23)が、世界最高峰の舞台で印象深い活躍を見せている。同ツアー1年目の選手が対象の「ルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人賞)」争いで、西郷は現在トップを独走中。仮に新人賞獲得となれば1990年の小林浩美(現・日本女子プロゴルフ協会会長)以来、34年ぶりの日本人の受賞となる。 【画像】ド迫力…!米ツアーを戦う中で磨かれた西郷真央の「豪快なドライバーショット」 今季も残り4試合となる中、ゴルフ関係者の間では西郷がタイトルを獲得する可能性が高いと言われているのだが、その理由は安定感のあるプレーと成績を見れば分かりやすい。7月の『CPKC女子オープン』と10月の『ピュイックLPGA上海』での2位を含む7度のトップ10入り。新人賞争いでトップに立つばかりか、ツアー全体のポイントランキングでも9位(10月29日時点)に食い込んでいる。パーオン率は75.9%で全選手中3位と、アイアンショットのキレは米ツアーでのトップレベルにある。 とはいえ、なぜ西郷は米ツアーでこれほど好調なのかーー。 韓国開催の米女子ツアー『BMW女子選手権』で久しぶりに西郷に会ったが、日本にいたときよりもかなり雰囲気が変わっていたことに気づいた。特に試合後の囲み取材の際に、とても“饒舌”になっていたことに驚いた。それに笑顔も増えた印象を受けた。「こっちの生活の水が合うのか」と尋ねると、西郷はこんな話をしてくれた。 「合っていると思っています。すごくやりがいも感じています。ずっとLPGAで戦いたい。選手のレベルもそうですが、こっちの選手のほうがよりゴルフに懸けている感覚はあります。自分に“近い”ものをみんなが持っているのかなという感じはします」 ◆仲間が増えていく喜び 実際に米ツアーはさまざまな境遇や背景を抱えた国の選手が集まる場所なだけに、よりゴルフに人生を懸ける意識の違いを感じるのだろう。ジャンボ尾崎(尾崎将司・77)を師匠に持つ西郷は、日本にいるときからプロ意識の高い選手だったが、アメリカのほうが話の合う選手が多いような気はする。 とはいえ、これは西郷自身が“変わろう”と積極的に行動した部分も大きい。こちらから、「日本にいるときよりも雰囲気が変わったような気がする」と伝えるとクスッと笑顔を見せてこう話した。 「基本的にチームで行動しています。みんなでどこかに一緒に行くというのはしませんが、みんなに会ったらしゃべったりする。でも、自分のことをやるとなったら、そこはパッと切り替える。選手と話すにしてもダラダラとしゃべり続けたりせずに、パッと切り替わるんですよ。その距離感が心地いい」 仲間内でもオン・オフをきっちり分けるような雰囲気が、米ツアー全体にあるということだろう。日本女子ツアーも取材している立場からすると“メリハリ”の部分において、確かに違いはあると感じる。さらに新参者だからといって、殻に閉じこもることはなく、1年目の新人だからこそ、周囲に積極的に声をかけたという。 「英語も上達するようにがんばってはいます(笑)。米国に来てからは周囲の人たちと積極的に話すようにしています。日本ツアー時代に海外メジャーの試合だけスポット参戦で米国に来ていた年よりも、何かしら伝えようとする努力をしているのですが、そうすると相手も歩み寄ってくれる。 特に仲がいいのはキム・アリム選手(29・’20年の全米女子オープン優勝者)ですね。めちゃくちゃ相談にも乗ってくれたり、かわいがってくれる。この間もパッティングの相談などをしました。面倒見のいいお姉さんみたいな感じですね」 自ら積極的に声をかけ、ツアーで切磋琢磨しあう仲間を作る楽しみを感じていている西郷。「英語はまだまだ勉強が必要。リスニングはかなり良くなってきたんですよ。もっと自分が話したい言葉を入れて、しゃべれるようになりたいです」と嬉しそうだった。 西郷にとって米ツアーは高みに向かうための居心地のいい場所なのは間違いない。充実した日々は、すべて結果が物語っていた。快挙達成に向け、視界は良好だ。 取材・文:金明昱(キム・ミョンウ)
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