プロのこだわりが効いたキッチンが主役の住まい
料理男子でなくとも憧れる業務用キッチン。無駄を省いた使い勝手のよさと飾らない機能美でどんなインテリアとも相性がいい点が魅力だ。そんな業務用キッチンが存在感を放つ住まいは、プロの料理人の夫と、ラジオ局に勤務する妻がリノベして手に入れたもの。キッチンから小物収納まで、日用品に宿る美を追求したセレクトが秀逸!
中村邸/2LDK/71.4㎡
料理人であり店舗プロデュースも手掛ける中村さんは、自宅でも料理するのを厭わないタイプ。築十数年のマンションを購入し、リノベーションした物件だが、当然こだわったのはキッチンだ。構造柱の右側には、二重バーナーのガスコンロを入れ、「業務用キッチンは基本的に収納が少ないので」と、冷蔵庫の隣には、キャスター付きで引き出せるタワー型の調味料入れをセッティング。 むき出しにした天井から下がるのは、〈トム・ディクソン〉のペンダントライトと、立体的なスピーカー。ラジオ局に勤務し、音を常に身近に感じていたい妻のために、中村さんが選んだ〈リスチュード〉のものだ。バーチの木目を生かした蜜蝋ワックス仕上げで、角度によって様々な形に見え、柔らかく広がった音が上から降ってくる。 面積以上にLDKを広く感じさせているのは、妻の丁寧なもの選びとこだわりによるところが大きい。リノベにあたってプレゼンシートを作って、叶えたい世界観を伝えたそう。床は、張り合わせた板の向きで市松模様を作るスクールパーケット。建具はオーダーで、好みの色に塗った後にあえてふき取ることで木目の表情を出し、軽やかな印象に仕上げた染色塗装。壁と床の境目に付ける幅木は数㎜の細さを指定し、白い壁を広く見せている。思わずダイブしたくなる〈リーン・ロゼ〉の大きなソファも、ローバックのため視界を邪魔せず、部屋を広く感じさせることにひと役買っている。 「この場所を気に入った理由のひとつが、傾斜地のため、2階ながらリビングの外に庭があること」と中村さん。完全なプライベートガーデンとして楽しめ、子供と遊んだり、夜風を感じながら酒を飲んだりするのが、中村夫妻のお気に入りの休日の過ごし方だ。