勝ってなお猛省を…“投手交代認められず” 中日ベンチがあまりに初歩の伝達ミス 斎藤の闘争心に救われる
◇渋谷真コラム「龍の背に乗って」 ◇23日 中日2―1広島(バンテリン) 勝ってなお、猛省を促したい。松葉から斎藤へ継投した7回、2死三塁から野間をストレートで歩かせた。ここで大塚投手コーチがマウンドへ向かった。ひと呼吸置き、ファウルラインをまたいだ後で立浪監督がベンチを出て、山路球審に「清水」と告げた。しかし、野球規則5・10の【注2】には、監督やコーチがマウンドに行き、ファウルラインを越えた後について、こう書いている。 ◆立浪監督、戸惑い気味!?…あの監督とハイタッチ【写真】 「その投手は、そのときの打者がアウトになるか、走者になるか、または攻守交代になるまで投球した後でなければ退くことはできない」 清水への交代は認められず、斎藤は続投。ここで打たれていたら、たぶん負けていた。そして、少なくとも直近の類似例では打たれ、負けている。昨年6月14日の西武(巨人戦、東京ドーム)は、続投からその打者への投球が暴投となったところで松井監督が改めて交代しようとして認められず。痛打を浴びた。2019年のDeNA・ラミレス監督は、阪神とのCSで交代できずにやはり犠飛を打たれた。しかし、この一、三塁のピンチで斎藤は踏ん張った。 「その後に何でああなったのかは僕にはわかりませんが、僕は続投のつもりだった。大塚さんからも『がんばれ』と言われていたので」 上本を3球三振。このコメントからわかるように、救いは斎藤が闘争心を保ったままだったということにある。 「ベンチとピッチングコーチとの(間で)意思がうまく伝わっていなかった。(斎藤が)先頭に四球を出しましたが、よく踏ん張ってくれました」 立浪監督の言葉は最初から代えるつもりだったようにも聞こえる。それならば、大塚コーチにファウルラインをまたがせてはいけない。そして本当に継投だと伝えたつもりなら、あまりに初歩の伝達ミスだ。ちなみに、僕が取材した限りでは清水は準備を終えていた。つまり負けの要素はベンチにあった。それを斎藤の踏ん張りとカリステの一打が救ってくれたことを、しっかり肝に銘じてもらいたい。
中日スポーツ