日銀は金融政策維持との見方、タカ派的発信あるか注視-根強い円安で
(ブルームバーグ): 日本銀行は今週の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を決めるとみられている。34年ぶりの水準まで円安が進行する中、植田和男総裁の記者会見などで追加利上げに向けたタカ派的な発信があるかが市場の関心事の一つになっている。
ブルームバーグが12-17日に実施したエコノミスト調査では、日銀が25、26日に開く会合について、ほぼ全員が金融政策の据え置きを予想した。次回の利上げ予想は10月会合が最多の41%となっているが、リスクシナリオでは最も早いタイミングとして52%が7月と回答した。
日銀は3月会合で17年ぶりの利上げなどを決め、大規模緩和から転換。当面は緩和的な金融環境が継続するとしたが、利上げ後も根強い円安圧力を背景に、市場では追加利上げの前倒しリスクが意識されている。円安が物価の基調に影響すれば政策変更の理由になり得るとする植田総裁の発言もあり、今回は総裁会見や声明文、新たな物価見通しとリスク動向から今後の政策展開の手掛かりを探る会合となりそうだ。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは、「9月利上げがメインシナリオではあるが、6-7月への前倒しのリスクは高まりつつある」とみる。日銀はコミュニケーション戦略を修正し、「政策修正はデータ次第というメッセージと、円安が経済、物価の見通しに大きな影響を及ぼせば、金融政策を修正する材料になり得るというメッセージを、記者会見や講演などで強調していくと予想される」という。
植田総裁は18日、訪問先のワシントンで会見し、円安が輸入財の国内価格上昇を通じて日本の基調的な物価上昇率に影響を与える可能性はあると発言。「無視できない大きさの影響が発生した場合には、金融政策の変更もあり得る」と述べた。3月会合後の会見では、物価見通しの上振れや上振れリスクの高まりが「政策変更の理由になる」と説明していた。
22日の外国為替市場で、円は対ドルで一時1ドル=154円85銭まで下落し、1990年6月以来の安値を更新した。エコノミスト調査では、円安要因で日銀が利上げを余儀なくされるリスクに関して、70%があると回答している。