井端侍15年ぶり完封負けで世界一逃す 8連勝も痛恨初黒星…国際大会27連勝でストップも「経験が何より大事」
◆ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12 ファイナル▽決勝 日本0―4台湾(24日・東京ドーム) 「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」の決勝が行われ、大会連覇を狙った侍ジャパンは台湾に0―4で敗れた。19年の前回大会以来となる黒星で、国際大会の連勝は27でストップした。先発の巨人・戸郷翔征投手(24)は5回にソロと3ランを浴び、4失点で降板。頼みの打線はわずか4安打で、3大大会では15年ぶりの完封負けを喫した。井端弘和監督(49)率いる侍は、敗戦を糧に、26年3月に行われる第6回WBCで4度目の優勝を目指す。 世界の頂にあと一歩、及ばなかった。井端監督の胸に悔しさがこみ上げる。0―4の9回1死一塁。栗原の放ったライナーが一塁手のミットに収まった。走者は戻れず併殺。皆がぼう然と見つめた。今大会3度目の対戦となった台湾に、3大大会で初めて喫した黒星。国際大会の連勝も27で止まった。決勝まで8連勝で来ながらたった一つの負けで、1次Lから3敗の台湾に栄冠を奪われる勝負の残酷さ。「選手は非常によくやってくれた。負けたのは本当に全て私の責任。選手に申し訳ない」と紡いだ。 23日の先発変更でスライド登板した林ミンに好投を許した。5回、陳傑憲に手痛い3ランを浴びた戸郷を「戸郷投手は巨人のエース。あそこで抑えてと期待したが、打たれたのは私の責任」とかばった。3大大会では09年WBCの韓国戦以来、15年ぶりの完封負け。4安打は、99年のプロ参加以降で最少タイだった。 連覇の公約は果たせなかったが、続投が決まっている26年WBCへ光明を見た。主力と見込んだ巨人・岡本和、ヤクルト・村上らが故障で招集がかなわず。戦力的に盤石でなかったが、初招集した“井端チルドレン”が結果を残した。 投手選考は吉見投手コーチに一任していたが「どうしても入れてほしい」とねじ込んだのが藤平だった。楽天戦視察の際、直球の力強さと感情むき出しで投げる姿にほれた。打者では辰己に魅入られた。当初は1番構想も宮崎合宿初日、ほぼ初対面ながら「僕が監督なら3番で使います」と売り込んできた肝っ玉を買った。「あのタイプは大一番で仕事をする」とにらんだからだ。次代の周東と期待する五十幡には盗塁失敗後も「恐れずにどんどん行け」と背中を押した。 昨年10月に監督就任後、国内に米国、コロンビア、韓国、台湾などを飛び回った。ある日、スーツ姿でようやく帰宅すると、これからまた出かけると勘違いされて「今度はどこに行くの?」と聞かれたこともあった。家族との時間を犠牲にして磨きをかけた選手を見る目で、侍常連組不在を感じさせない戦いを繰り広げた。 「結果を気にするな。国際舞台に立つ経験が何より大事だから」と選手に伝え続けた。活発な新陳代謝こそ、常勝チーム構築につながると信じる。「過酷なスケジュールで選手はよくやってくれた。自信をつけた選手もいると思うので、さらに成長してくれるとうれしい」。苦い思いも糧に、26年WBCへ歩を進める。(阿見 俊輔)
報知新聞社