異次元の少子化対策「産後ケア事業の拡充」だが利用率はたったの3割?利用ハードルが高い現状
政府は、異次元の少子化対策として「こども・子育て支援加速プラン」を推進する動きを進めています。 【調査結果をみる】産後ケア事業に関する調査結果。9割以上の人が「産後に悩みやトラブルがあった」と回答 異次元の少子化対策として「児童手当の拡充」や「保育サービスの拡大」「育児休業の取得促進」などがありますが、その中に「産後ケア事業の拡充」もあります。 核家族化が進み、地域社会とのつながりが希薄になっている現代では、育児に対する悩みを打ち明ける場が少なくなっており、産後ケア事業のニーズが高まっています。 本記事では、「産後ケア事業の概要」や「どのような人が対象なのか」などについて詳しく解説していきます。 産後ケア事業の実態調査の結果も紹介しているので、利用検討時の参考にしてみてください。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
「産後ケア事業」とは?どのような人が対象者になる?
産後ケア事業とは、育児に関する不安を解消できるよう、出産後の母親が心身を休めながら、助産師といった専門家からサポートしてもらえる事業を指します。 産後に家族から十分な育児・家事の支援が受けられずに、心身の不調や育児不安がある人に対して、専門家が支援してくれるため、安心して育児に臨めます。 産後ケア事業の対象者は「産後に心身の不調又は育児不安等がある者、その他特に支援が必要と認められる者」で、具体的な内容は下記のとおりです。 ・出産後に体調がすぐれないまたは育児に不安がある方等で産後1年未満の子どもをもつ母親とその赤ちゃん ・流産や死産を経験した女性 産後ケア事業として利用できるサービスは主に下記3つです。 1.宿泊型:病院や助産所等を活用し宿泊をして産後ケアを実施 2.デイサービス型:個別又は集団で支援を行える施設で産後ケアを実施 3.アウトリーチ型:担当者が自宅を訪問し産後ケアを実施 具体的な支援内容として、赤ちゃんに対する保健・授乳指導や、お母さんに対する心理的ケアなどが挙げられます。 なお、利用期間は原則7日以内とされています。 ●「産後ケア事業」のニーズが高まっている背景 核家族化や地域社会との関係性が希薄となっている現代では、育児に対する相談を周囲にしにくく、不安や焦りを感じ、精神的に追い詰められるケースは少なくありません。 こども家庭庁の「令和4年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数(速報値)」によると、令和4年度中に児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は21万9170件であり、過去最多を記録しています。 このように、家庭内での虐待やネグレクト(育児放棄)が、増加傾向となっていることから、母親の心理的・身体的サポートを目的とした「産後ケア事業」のニーズが社会的に高まっているのです。