【2歳馬ジャッジ】ナチュラルライズとピコチャンブラックが優秀な内容でAAA 大きな舞台での活躍に期待
札幌競馬場で出走した2歳馬たち
7月20日(土) 札幌1R 優勝馬 ポッドベイダー 指数-7 評価A 5番枠からトップスタートを決めて楽にハナを主張して先頭。そこからも行きたがるのをコントロールしながら逃げた。3~4角で外からニシノクードクールが迫ってきても手応え十分に先頭を維持して直線へ。直線を向いても逃げ脚は衰えず、リードを1馬身半に広げた。ラスト1Fでもそのまま踏ん張って1馬身3/4差で勝利した。 前走6月函館のカルプスペルシュが勝利した新馬戦は、上位4頭までの着差がクビ、クビ、クビと僅差の決着。上位4頭全てがなかなかの好指数を記録した一戦だった。そこで2着だったのがポッドベイダー。新馬戦も好スタートだったが、今回はそれ以上のスタート。新馬戦は道中2番手を追走し、勝利目前のところを差されての2着で負けて強しだった。ここではその走りが評価され断然の1番人気に支持され、その人気に応えた。 走破タイムの1分8秒8は、1レース目で馬場状態が良かったことを考慮してもなかなか優秀。上がり3Fタイム33秒9も上々。結果、指数は未勝利クラスとしては優秀なものとなった。OP級の伏兵として活躍が期待できそうな馬だ。 7月20日(土) 札幌5R 優勝馬 ナチュラルライズ 指数-21(ダート) 評価AAA 4番枠から五分のスタートだったが、すっと上がって好位の中目を確保。スピードがあり過ぎるようで、先頭に接近してクビを上げる場面もあった。そのあとは折り合いもついて、向正面では淡々と好位の内目を追走。3角過ぎから先頭のベルベルコンパスが後続を突き放しにかかったところで、鞍上の横山武史騎手がゴーサイン。あっという間に差を詰めてベルベルコンパスに並びかけ、直線では2頭のマッチレースとなった。ラスト1F手前でベルベルコンパスを競り落としたが、そこからも脚色は衰えず、2着に6馬身差をつけて圧勝。3、4着馬には3秒3という大差をつけた。 走破タイム1分45秒7は古馬を含めて同週の札幌ダ1700mではNO.1。上がり3Fタイム36秒9も古馬を含めて同週の札幌ダ中距離でNO.1だ。ラスト2F12秒3-12秒3はダート中距離としてはかなり優秀と言えるだろう。 走破タイムは2年前のペリエールが勝利した札幌新馬戦と同タイムだが、当時よりも今年のほうが時計がかかる馬場で、テンの入りもナチュラルライズの新馬戦のほうが遅い。よって指数はペリエールよりも明らかに上。結局、今回のナチュラルライズの指数は2年前の小倉新馬戦で驚異の高指数勝ちをしたヤマニンウルスと同等なものとなった。 新馬戦で古馬3勝クラス通用級の破格の指数を記録したナチュラルライズ。ただあまりにも優秀な指数を新馬戦で記録することは競走馬に大きな疲労を残すことが多い。今後の懸念点はヤマニンウルスの新馬戦後に述べたことと同じで、ここからは大事に大事に使ってほしい。 7月21日(日) 札幌1R 優勝馬 ミッドナイトゲイル 指数-12(ダート) 評価B 7番枠から好スタートを切り、減量騎手起用だったこともあってダッシュが速く、ハナを主張して逃げた。しかし、内からラヴィングユーが激しく抵抗。4角まで併走状態だったが、直線に向くと楽に競り落として直線序盤で3馬身リードを広げた。ラスト1Fでさらに差を広げて5馬身差で勝利した。 ミッドナイトゲイルも6月函館のカルプスペルシュが勝利した新馬戦でクビ+クビ差の3着でなかなか良い指数を記録していた。次走は連闘で使われ1番人気に支持されたが、新馬戦時ほどの指数では走れず2着だった。今回はデビュー3戦目で初ダート。それでも近2走の芝での走りが評価され、ダートの好成績馬を差し置いて1番人気に支持されていた。 今回はその人気に応えて初ダートながら好指数勝ち。これは高く評価できることだが、ダ1000m戦で、かつ減量騎手起用でのもの。また使い詰めており、今後の上積みにはやや疑問が残る。体調面が万全となったところで真価を問いたい馬だ。 7月21日(日) 札幌5R 優勝馬 キングスコール 指数-5 評価A 5番枠から好スタートを決め逃げそうな勢いだったが、1角で内のショウナンサムデイが上がってきたので、同馬を行かせてその外2番手を追走した。向正面でもコントロールしながら追走していたが、3角手前で外からテリオスララらにマクられ、それに抵抗する形で先頭を奪い返してペースアップ。そこから11秒台のラップを刻み続けた。最後の直線でも先頭を譲らず、直線序盤で1馬身のリードを奪うと、ラスト1Fでさらに差を広げて3馬身差で完勝した。 上がり3F34秒8、ラスト2Fは11秒6秒-11秒5でともにまずまず。走破タイムが1分47秒8のレコード勝ちなので過剰評価を受けてしまっているようだが、今回の指数は秀逸と言うわけではなく普通に強いレベル。ソダシが記録したレコードを更新したということで同馬と比較されているが、函館新馬戦時の走りが当時の計測法でラスト2F11秒7-11秒6と秀逸だったソダシとの比較から、現状ではまだ厳しい印象がある。そうは言っても競走馬を着実に成長させる矢作芳人厩舎の所属馬だ。使われながら着実に上昇していくだろう。 ※パワーポイント指数(PP指数)とは? ●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示 例)ナチュラルライズの指数「-21」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.1秒速い ライタープロフィール 山崎エリカ 類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
山崎エリカ