ドジャースが強いのは”スター揃い”だからではない!? ”常勝軍団”であり続けられる理由とは…?【コラム】
ひときわ輝く“トレード巧者ぶり“
毎年コンテンダーとなるドジャースにとって、トレードデッドラインで上手いトレードをまとめることは重要だが、成立させたトレードの価値を大きくすることも同様に重要である。 スター選手を獲りに行くブロックバスタートレードは、派手でゲームチェンジャーとなり得るが、どうしてもプロスペクトのコストがかかってしまう。一方で他球団が気にしていない、あるいは低評価とされている選手を低コストで連れてきて、高パフォーマンスを得るのは球団の未来にとってもやさしいものとなる。 この3年で成立したトレードを見てもドジャースがその点で非常に上手くやっていることが分かる。 投手改造と同様にリリーフ投手の改造が目立つ。最も驚異的なパフォーマンス向上を見せたのは2022年に獲得したクリス・マーティンだ。 この年で36歳と、キャリアの終盤に差し掛かっていたマーティンは、カブスで平均的なリリーバーとなっていた。ドジャースファンとしては2020年のNLCSでコーディ・ベリンジャーがシリーズの行く末を占う劇的な決勝ホームランを放った相手として認知されていた。日本の野球ファンでは過去に北海道日本ハムファイターズでプレーしたことでも知られている。 そんなマーティンはドジャースに控え野手のザック・マッキンストリーとのトレードでタダ同然で加入すると突如覚醒し、26試合登板、防御率1.46の成績を残した。ドジャース加入後にスタッツが軒並み改善している。 ヒット/9回(被安打率) : 10.9 → 4.4 ホームラン/9回(被本塁打率) : 1.4 → 0.4 三振/9回(奪三振率) : 11.5 → 12.4 FIP(与四死球、奪三振、被本塁打による投手評価): 3.02 → 1.13 同年のポストシーズン、対サンディエゴ・パドレスNLDSではクローザー不在の中、9回を任されることもあった。 シーズン終了後にボストン・レッドソックスと2年1750万ドルの契約を結び、2023年には55試合に登板し、防御率1.05の好成績を残しサイヤング賞投票も獲得した。今季は不安障害の影響で37試合の登板にとどまっているが、それでも防御率2.72(※日本時間9月3日時点)と奮闘している。 トレードの成功例というと2021年のアトランタ・ブレーブスをワールドシリーズ優勝に導いた外野陣トレードや2022年にフアン・ソト、ジョシュ・ヘイダーを獲得したパドレスなどが挙げられる。 ポストシーズンで成功できていないためあまり目立たないが、ドジャースも近年ではその育成力を駆使して、トレードを成功に変えているのだ。
ベースボールチャンネル編集部