惜敗の横浜戦、10人でも諦めない京都を象徴した“CB”宮本優太の奮闘
その声がチームを後押し
「今までやってきた浦和だったり、ベルギーでああいう選手とやるのは練習から毎日、当たり前だったので。そういうところを自分の中で意識できていたのが、今日の試合でも巡ってきたのかなと思います」 そう語る宮本の真骨頂と言えるシーンがあった。63分に横浜のビルドアップをFW原大智がカットし、京都のロングカウンターに。結果的に相手GKのポープ・ウィリアムがDF福田心之助の進路を阻んだとして、退場が命じられた。 ここで右サイドバックの福田をセンターバックのポジションから全力疾走で追いかけて、カウンターに厚みをもたらしたのが宮本だった。 「シン(福田)にはチョンッと横に出していいよと走っていたので。あれがレッドじゃなくて、自分が決められていれば、また違う流れだったのかなと思いますけど...タラレバなので。シンはよく走ったと思います」 そう振り返る宮本は対人の守備でA・ロペスなど、横浜が誇るアタッカーを止めるだけでなく、積極的な声で京都の選手たちを鼓舞した。そのことについて聞くと、「曺さんに送り出される時に、お前がディフェンスリーダーとなって、チームコントロールしてくれっていうのを言われたので」と答えた。 大卒3年目、まだ24歳の宮本ではあるが、浦和からベルギー2部のデインズで武者修行した経験があり、年齢に関係なく発信力を備えている。後ろで身体を張るだけでなく、その声が最後まで諦めずにチームが戦う後押しになったことは間違いない。 「一人ひとりが自分の役割だけじゃなく、本当にいろんな人の分までやろうって、助け合おうっていうのを外から見てすごく思いましたし、中で一緒に戦っても、そう思うシーンが多かったので。本当に出ていた選手たちは素晴らしかった」 チームメイトを称える宮本だが、ここからスタメンでピッチに立つために、代表ウィークの中断期間も、トレーニングから仲間たちと切磋琢磨していく心構えはできている。 浦和で怪我からの試合復帰を目ざすMF大久保智明から連絡をもらったという宮本は、ベルギーで1部昇格を期すデインズにも刺激を受けて、京都での主力定着を狙う。 アピアタウィアが出場停止となる次節の東京V戦は引き続き、センターバックで起用される可能性もあるが、チームを後押しする熱いプレーに期待したい。 取材・文●河治良幸