大谷翔平（AP）

　大リーグのワールドシリーズが25日（日本時間26日）に開幕する。ヤンキースと対戦するドジャースの大谷翔平選手は24日、ロサンゼルスの本拠地で取材対応し、その後、本番に向けて調整した。 　　　　◇　 　高鳴る鼓動を抑えられなかったのか。小さい頃から夢見ていたワールドシリーズの前日、大谷翔平は珍しくグラウンドに出て走った。今季本拠地では初めてのこと。まずはベースランニングで、一塁から二塁へスタートの感触を確かめた。 　その後、向かったのは右翼だ。外野で一人、約50メートルのロングダッシュを敢行し、4本、全速力で駆けた。世界一奪取へ、異例の4本ダッシュで最終調整を締めくくった。 　ジャッジ、ソト、スタントンらが強力打線が並ぶヤンキースとの名門対決。日米メディアから一人、別次元の注目を受ける大谷は「特別な試合だとはもちろん思う。ただ僕自身は初めてなので、なるべく冷静に自分のプレーをできるようにしたい」。練習前の会見ではこう語ったが、熱い気持ちはひしひしと伝わる。 　昨年のこの時期は、右肘の手術明けでリハビリ中だった。大リーグに渡って6年はテレビ画面で、ワールドシリーズを見ていた。病室で観戦したこともある。「今まではワールドシリーズを見る側だった。悔しい思いをしていた中で、今年は自分がプレーできるという喜びをまずフィールドで出せたら」。 　開幕前には「優勝以外は失敗」と言い切った。ドジャースとの入団交渉は、ほとんどがワールドシリーズに勝てるかという話だったという。メジャーに渡ってからこの場所で勝つためにプレーしてきた。「勝てばもうなんでもいい。自分の状態がどうなってるかとか、変な話、打てた打てないとか。それが有意義なアウトならオッケー。逆に言えば、全て勝ったか、負けたかで決まる」。ついに、最高の舞台に、史上最高の選手が立つ。