自転車でスマホ「やめて」 1日から「ながら運転」に罰則、県警が注意喚起
●若者周知へ学校、販売店と連携 自転車走行中の携帯電話使用(ながら運転)と酒気帯び運転に罰則を新設した改正道交法が11月1日から施行されるのを前に、富山県警がルールの周知を進めている。スマートフォンの普及でながら運転の事故が若い世代を中心に増加。県内では今年、自転車同士の衝突でけがを負った事故が発生しており、県警は自転車販売店や学校と連携し、注意を呼び掛ける。 6月、富山市窪本町の市道地下道で、自転車を運転していた男子中学生が対向してきた成人男性が乗った自転車とぶつかり指を骨折する事故が起きた。7月には南砺市福野の県道交差点で、それぞれ自転車に乗った70代女性と小学生男児がぶつかり、女性が左足を骨折した。 ながら運転は走行中に携帯電話やスマホなどを手に持って通話したり画面を注視したりする行為。スマホホルダーでハンドルに固定していても走行中に画面を注視した場合はながら運転となる。 警察庁によると、ながら運転の事故は2013~17年の5年間は計295件だったが、18~22年は計454件と約5割増加した。 ●死亡事故も発生 県内では2023年の自転車事故件数が前年比46件増の271件で、死者は1人増の6人、負傷者は40人増の258人だった。死傷者264人のうち小中高生を含む24歳以下は118人で全体の44・7%を占め、若年層が目立った。 こうした状況を受け、県警は自転車ルール厳罰化を周知するため、県自転車商業協同組合加盟の約100店にポスターを配布した。県内の高校や携帯ショップ、ホームセンターなどにも協力を依頼している。 富大五福キャンパスや専門学校、高校が近くにある富山市五福の自転車販売店「サイクルショップヒライ」で23日、警察官2人が平井和雄店長(69)に啓発用ポスターを手渡し「協力をお願いします」と客への声掛けを依頼した。平井店長は「学生がスマホの画面を見ながら運転しているのをよく見掛ける。悲惨な事故を減らすため協力する」と話した。 県警は31日朝、龍谷富山高生と一緒に富山駅で自転車ルール厳罰化を周知するキャンペーンを展開する。交通企画課の西村充次席は「自転車だから大丈夫という安易な気持ちは捨ててほしい」と話した。 ★1日からの改正道交法 自転車のながら運転で有罪になると、6月以下の懲役または10万円以下の罰金となる。事故を起こすなど交通の危険を生じさせた場合は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金。酒気帯び運転では、3年以下の懲役または50万円以下の罰金となる。公安委員会は、ながら運転と酒気帯び運転の違反を繰り返した人に自転車運転者講習の受講を命令できるようになる。