東京在住・独身45歳一人娘、東北の母へ仕送り「総額1,500万円」…母の死後、まさかの税務調査で追徴課税に。原因は「思い出の詰まった通帳」【税理士が解説】
長年の仕送り総額「1,500万円」が手つかず
仕送りしてきたお金は、結果、Aさん名義の通帳に貯金をされていました。Aさん名義の通帳は、Aさんが子供のときに両親が作った通帳のひとつです。お年玉などはいつも母親がその通帳に貯金をしてくれて、毎年大事に残してくれていました。ときどき、どうしても欲しいものがあったら、母親にお願いして、お年玉から買ってもらったこともありました。とても思い出深い通帳です。 そんなAさんの通帳の残高は、12年分の仕送りが毎月貯金されていて、1,500万円にもなっていました。Aさんは特に迷いもなく、そもそもこのお金は自分のお金だし、結果的に自分の名義の通帳にあるから、相続には関係ないだろうと考えます。 そうこうして申告を終えた2年後、Aさんのもとに、なんと税務調査がやってきました。 なぜ自分名義の通帳が母親の財産に? 税務調査官はこのAさん名義の通帳について、「これは名義預金です」と指摘しました。これらを修正するとなると、追徴課税は約225万円になります。 Aさんは驚きました。そもそもAさんは自分名義の通帳が母親の財産とみなされるということは予想だにしていません。ましてやその中身はもともと自分のお金です。「そんなことがあるのか」と調査官に質問をしました。
「名義預金」とは?
ここで、名義預金について解説をします。名義預金とは本人が存在を知らない、もしくは管理をしていない預金のことを言います。名義だけは子供でも親が管理していたら、それは親の預金とみなされることになります。名義預金とみなされた通帳については、たとえ名義が子供であっても、親に相続が発生したら親の相続財産とみなされます。 名義預金とみなされるケースは、いくつかポイントがあります。 1.本人が口座の存在を知らない。 2.本人が管理していない。 3.口座の届出印が本人ではなく、親の印鑑になっている。 4.口座開設をした金融機関が本人の住所ではなく、親の住所の近くの支店になっている。 5.預金が預けられたままで口座の引き落としがまったくない。 などが挙げられます。これらにあてはまるような通帳であれば、名義預金となります。