新型スープラと噂される『FT-1』 発売ならどんなクルマになる?
トヨタ製のハンドリングマシーンが誕生する。デトロイトで突如ベールを脱いだスタディコンセプト『FT-1』は、現時点では発売予定もないコンセプトに過ぎないが、プロジェクトが順調に進めば、スープラ後継となるFRベースのスポーツハイブリッドになりそうだ。
トヨタはスポーツカーをつくりたい
1月のデトロイトショーで、ふいにベールを脱いだスポーツカーがあった。トヨタFT-1である。トヨタの説明によればFT-1は「よりエモーショナルでお客様をワクワクドキドキさせるスポーツカーデザインを探求する中で、その可能性の一つを示すべくデザインされたクーペのスタディコンセプト」ということだ。 耳慣れない専門用語だと思うが、こうした用語には一定の法則がある。スタディーコンセプトとは、クルマの方向性を探ったり、今後のデザインテイストをアピールしていくものであって、そのものずばり生産予定の車両ではない。むしろ「直近の生産予定がない」ことを表す言葉だ。 モーターショー専用の完全な絵空事コンセプトが存在する場合があるが、FT-1に関しては、デザインの説得力や告知の仕方がそういう絵空事とは一線を画している。お祭り用ではなさそうなのだ。 スタディコンセプトを作るということは、やる気の証明でもある。製作にはそれなりに大きなコストがかかる事業なのだ。もちろんプロジェクトがとん挫することはあり得る。だからこそコンセプトだと言っているのだが、それでも無意味なものは作らない。トヨタにこのクラスのスポーツカーを作りたい意向があることのある意味証明ともとれるのである。 前述のトヨタの発表を解り易く言いかえれば「86よりひとつ上のサイズのスポーツカーに興味があり、どんな形にしたらお客さんに喜んでもらえるか考えて色々トライしています。FT-1はその中でクーペデザインにまとめてみたもので、まだ発売予定のないコンセプトカーですよ」となる。
どんなメカニズム構成なのか?
われわれが知りたいことはこれがホントに発売されるのか? どんなメカニズムを使いどんな性能で出てくるか? に集約される。 そして知りたいことは写真からある程度読み解くことができるのだ。FT-1のデザイナーはただ無暗にカタチの提案をしているわけでなく、少なくとも頭の中にはどんなメカニズムを内包するかキチンと決まっている。スタディコンセプトに込められたそのメッセージは比較的ストレートだ。 サイズとレイアウトから、永らく空席になっていたスープラの後継モデルになるのではないかという観測は多い。少々気が早いが、現実的に見ればトヨタ自身もそのつもりと見ていいように思う。 写真を見て、明白なのはFRレイアウトで考えられていることだ。Aピラー付け根にはエンジン隔壁がある。これと前輪の位置関係からみて、おそらくエンジン搭載位置をできるだけ車両中心に近付けたフロントミドのレイアウトが採られるだろう。このレイアウトが意味するのは、FT-1はハイパワーの「直線番長」ではなくハンドリングカーとして仕立てられると言うことだ。