帝劇の歴史を振り返り、未来に光あてる 公式書籍「帝国劇場アニバーサリーブック NEW HISTORY COMING」発売へ 堂本光一らの座談会など収録
建て替えのため来年2月をもって休館する東京・帝国劇場で、開場から59年の間に上演された350以上の演目に携わった191人の俳優とスタッフの思い出と、やがて開場する新たな帝劇の未来に光をあてる公式書籍「帝国劇場アニバーサリーブック NEW HISTORY COMING」の発売が決定した。オールカラー、全356ページの大ボリュームで予価は5990円(税込み)。12月20日から限定1万部を帝国劇場で先行販売し、来年1月15日全国の書店にも並ぶ。
1966年の開場以来、舞台の場面を瞬時に変化させる地下6階までの奈落や大きな舞台袖を駆使して日本の演劇史を築いてきた帝劇。来年で現劇場が解体されるのを前に、数々の名作に関わった名だたる俳優とスタッフ191人の〝生の証言〟をぎっしりと詰め込み、超豪華な対談企画も実現させた公式本が発刊されることになった。
巻頭を飾っているのは、92年に「ミス・サイゴン」で初舞台を踏み、足かけ30年にわたりエンジニア役を演じた市村正親(75)と、主演ミュージカル「SHOCK」シリーズにおいて国内演劇の単独主演記録を更新し、今月の帝劇公演でラストを迎える堂本光一(45)、2000年の「エリザベート」日本初演でルドルフ役を演じ、その後数々の帝劇初演作で主役を演じてきた井上芳雄(45)による座談会企画だ。 市村の「ミス・サイゴン」が帝劇で初めて見た作品で、以来何度も足を運んだという光一。井上も2004年に同作に初出演したとき、すでに市村はレジェンド的存在だった。光一とは18年に「ナイツ・テイル―騎士物語」にW主演で初共演して以来、深い友情で結ばれている。 「SHOCK」シリーズを24年上演した中で、セットの転倒事故や自身のけが、コロナ禍も経験した光一が「起きてしまったことをいかにプラスに働かせるかも考え、そういう全てを学んだのが帝劇です。帝劇には人を変える力があると思います」と語ると、市村も「あると思う」と同意。帝劇楽屋口にある神棚には、66年の中村吉右衛門襲名公演に賛助した松本白鸚、浜木綿子、草笛光子ら35人の名が入った灯籠が飾られており「その神棚を拝んでいると、僕はいつも俳優として生きる力をもらえるんです」としみじみと語った。 井上も「帝劇は敵ではなく味方で、稽古で歌った時にどうしても出なかった音が本番の舞台上では出たりとか、僕も不思議な体験が結構あります」と振り返った。 ぜいたくな時間はあっという間。光一が「こういう貴重なお話を直接聞けてうれしいです。市村さんとは共演させていただいたことがないので、ぜひ実現させたいです」とラブコールを送ると、大先輩も「僕も共演したいよ。この3人でできるミュージカルがあったらいいよね」と応じた。対談内ではその具体名まで飛び出し、井上も「光一くんが演出したらいいと思う」と賛同した。 その奇跡の共演は、生まれ変わった劇場で実現するかもしれない。光一は「新帝劇が完成した時、自分が何をしているのか想像もつかないのですが、求められる存在でいられるように頑張らないといけないなと思っています。新帝劇にはめちゃくちゃ期待しています」と声を弾ませた。 裏表紙は帝劇の楽屋口にある、着到板(劇場入りしたときに自分の名前の札を赤文字の裏から黒文字の表に返す木の板)に191人の名札を掲げたデザインとなっていて、帝劇窓口での先行販売購入者には同じデザインのクリアファイルが特典として付属する。 ◇豪華な企画満載 「帝国劇場アニバーサリーブック」はほかにも豪華な企画が満載だ。主な作品ごとの見どころは以下の通り。 【レ・ミゼラブル】 1987年の初演初日でジャン・バルジャン役を演じた滝田栄が23年ぶりに帝劇の稽古場を訪れ、ファンテーヌ役の岩崎宏美、エポニーヌ役の島田歌穂、現在も音楽監督を務める山口琇也さんと23年ぶりに再会。 【ラ・マンチャの男】 69年日本初演から昨年4月によこすか芸術劇場でファイナル公演を迎えるまで松本白鸚が演じてきた作品。ファイナル公演を終えた白鸚の新帝劇へのメッセージと、娘の松たか子や駒田一ら共演者の熱い証言も。 【エリザベート】 歴代主役キャストの一路真輝、涼風真世、朝海ひかる、瀬奈じゅん、春野寿美礼、花總まり、蘭乃はな、愛希れいかの8人による座談会。 【モーツァルト!】 主役のヴォルフガング役を演じた歴代キャストの井上芳雄、中川晃教、山崎育三郎、古川雄大、京本大我による座談会。 【屋根の上のヴァイオリン弾き】 森繁久彌さんが900回演じた主人公・テヴィエ役を94年に引き継いだ西田敏行さん。虚血性心疾患のため今年10月17日に死去したが、その3カ月前にこの帝劇本のためにインタビューに応じ、上條恒彦や本田美奈子.さん、駒田一ら共演者への温かい思いや帝劇の楽屋裏でのカンパニーの思い出を楽しそうに語った。 【DREAM BOYS】 現帝劇最後のメインキャストを担った「Snow Man」の渡辺翔太と「SixTONES」の森本慎太郎が、ジュニア時代にバックとしても共演した鳳蘭と紫吹淳との楽屋裏でのほほ笑ましいエピソードを公開。
中日スポーツ