橋の補強工事でミス隠蔽 震度7級で段差の恐れ 三木の県道、工事やり直しへ
兵庫県は24日、三木市内の県道で実施した県発注の橋梁(きょうりょう)耐震補強工事で、小野市の建設業「藤健建設」と、下請け業者の「タナカ工業」(姫路市)が施工ミスを隠蔽(いんぺい)していたと発表した。県に寄せられた匿名の文書で発覚。震度7クラスの地震が発生した際、橋に大きな段差が生じる恐れがあるといい、両社に工事のやり直しを命じる。 【写真】施工ミスの隠蔽が発覚した窟屋大橋 県によると、施工ミスがあったのは三木市志染町の県道平野三木線の窟屋(いわや)大橋(全長54メートル)。藤健建設が9478万円で県から受注し、2022年10月~23年6月30日に実施された。 工事終了から約2カ後の9月12日、この工事を巡って「ボルトの穴を開ける位置を間違えたため、監督員に無断で開け直し、塗装で隠蔽している。所定の強度がない」という匿名の文書が県道路保全課や加東土木事務所などに郵送された。 県の聞き取り調査に両社とも当初は否認したが、10月になって「造り直すと工期に間に合わないと思った」と隠蔽を認めたという。 県の調査では、橋脚や橋台と橋桁をつなぐ鋼製の「受け台」44部材のうち9部材で、計124カ所の開け間違いが判明。穴は溶接でふさがれ、塗装で隠されていたが、空洞や損傷のため強度が不足しているという。現時点では通行止めなどは実施していない。 県は両社の費用負担で取り換え工事を命じるほか、両社のいずれかが関わった6基を含め、同様の耐震補強工事を実施した県内の橋計169基を緊急点検する。(前川茂之)