商社勤務でも苦しい23区「億ション」だらけの訳 高騰続くマンション価格が“適正”なカラクリ
不動産経済研究所の発表によれば2024年3月の東京23区の新築マンションの平均価格が1億2476万円と過去最高水準になったといいます。 【画像でわかる】2009年当時のマンション価格を現在と比較すると つい先日、友人が麻布台ヒルズに誕生したタワーマンションのアマンレジデンス東京の内覧会に呼ばれたそうです。 「で、買ったの?」 と尋ねたところ、 「買える値段じゃなかった」 と即答しました。数億円ぐらいの物件なら躊躇なく買える友人でも、検討すらできない価格だったそうです。
「ちなみに高めの部屋の管理費がいくらだと思う?」 と訊かれたので、 「月30万円ぐらいじゃない?」 と答えたところ、 「違うよ、月300万円だった」 という話でした。 ■超富裕層からみれば「お手頃な価格」 ちょっとだけ解説をさせていただくと、この管理費はおそらく物件の価格が300億円台といわれている一番広いタイプの部屋の場合でしょう。アジアの超富裕層から見ればこの物件、300億円で買ってもおそらく将来、退去する際に300億円超で買い手が見つかるでしょう。それくらい価値のある物件です。
その前提では維持費はマンションの管理費と積立金だけということになります。一日10万円の管理費ですが、これはアマンのコンシェルジェサービスつきの価格です。同じ広さのアマンリゾーツのキングスイートルームに泊まれば一泊50万円から100万円はするでしょう。同じくらいの部屋にこの管理費で住めるのですから、超富裕層からみればお手頃な価格なのでしょう。 それにしても一番ハイエンドな世界は横に置いておいて、そうではない23区の平均的なマンション価格が1億2476万円となると、誰が買うのでしょうか?
平均が1億円を超えるとなると、さぞや部屋も広いのかというとそうでもなく、㎡あたり単価から逆算すればこの1億2476万円のマンションの広さは64.9㎡になります。それほど広くはないマンションがここまで高くなってくると、「自分は買うだろうか?」と疑問が頭をよぎります。 一般に住宅ローンの適正倍率は年収の7倍と言われています。最近ではセールストークなどで「年収の10倍は大丈夫ですよ」とか言われますが、7倍でもかなりの人生のリスクを背負うことになります。そこから逆算すると1億2476万円の物件を買うには年収1782万円以上ないと勇気をもって住宅ローンが組めない計算になります。