多重事故想定し連携 恵那山トンネルで両県の関係機関が合同訓練【長野県・岐阜県】
ネクスコ中日本飯田保全・サービスセンターは25日、恵那山トンネル内での多重事故を想定した訓練を中央道下り線恵那山トンネル西チェーンベース(岐阜県中津川市)で開いた。同センターや長野、岐阜両県の県警高速隊、消防本部、バス会社など関係機関から約140人が参加。事故発生時の情報伝達から救助、消火活動などの一連の流れを確認し、連携強化を図った。 恵那山トンネルは長野と岐阜の県境に位置し、災害時は両県の関係機関の連携が必要となることから、訓練は1985(昭和60)年から毎年行っている。今年は信南交通(長野県飯田市)が初めて参加した。 訓練は、中央道上り線のトンネル内で乗用車とバスなど4台が絡む事故が発生し、複数のけが人が出たと想定。実際に車を横転させるなど、より実践的な形で行った。 バスの運転手が119番通報し、飯田広域消防本部と中津川市消防本部が両県側からトンネル内に進入。有害物質の発生がないことを確認した後、救助隊と救急隊が駆け付けて事故車両やバスから負傷者を救出した。 救助後は車両から出火したと想定し、消火活動も実施。各機関が情報共有しながら事故車両の移動、現場の清掃、点検まで行い、速やかに道路復旧した。 訓練を終えて中津川市消防本部の宮嶋保彦消防長は「恵那山トンネルでの事故は関係機関の連携が不可欠。役割分担などを確認できた」と語った。 同センターの藤野友裕所長は「バス会社も加わってより実践的な訓練ができた。今後も訓練を通じてどんな事故が起きても対応できるようにしていきたい」と話していた。 恵那山トンネルは下り線8489メートル、上り線8649メートルで、国内6番目の長さ。1日あたり上下線で2万台以上の交通があるという。 同センターによると、75年の開通以来、トンネル内での死亡事故は10件で10人が亡くなっている。今年は10月末時点で23件の事故があり、4人のけが人が出ている。トンネル内での車両火災は2019年以降発生していない。