TikTokなどSNSで”避難所のリアル”を発信し続けてきた学生 卒業で新たな一歩
この春、多くの学生が新たな一歩を踏み出した。石川県七尾市で被災しSNSで「避難所のリアル」を発信していた中村斗星さんもその一人。この震災から中村さんが学んだことがあると言う。 【画像】避難所のリアルを発信してきた大学生
SNSで発信”避難所のリアル”
3月15日。石川県金沢市にある北陸大学の卒業式。55人の学生が旅立ちの日を迎えていた。その中の一人が中村斗星さんだ。 中村斗星さん: ボランティアの方々が、ガラスが割れている部分とかを直してくれて… 元日は自宅がある七尾市で過ごしていた中村さん。自宅は大きな被害を受けた。家族みんなで身を寄せたのが七尾市の田鶴浜体育館。 そこで、中村さんは避難所の様子をSNSで上げ続けた。 中村さん: より多くの人にこの現状を知ってもらうために、避難所のリアルということで
避難所は統合「いったん区切り…」
卒業式の2日前。中村さんを訪ねると…。 記者: 今も田鶴浜体育館で生活している? 中村さん: 今は隣のコミュニティセンターと避難所が合同になって3月4日からあっちの方で避難所生活をしています。元通りって感じですね。 多い時は200人程度が避難していた田鶴浜体育館。近隣の避難所と統合された。 中村さん: 体育館に避難していた時に生まれた絆があるので、いったん区切りがついて寂しい気持ちもあるんですけど、復興に近づいているって考えたらいいことなのかなって思います 中村さんの自宅は手つかずのまま。家族と身をよせているのは田鶴浜地区のコミュニティセンターだ。 中村さん: 僕とお父さんがここで、お母さんは隣でって感じですね。ここは田鶴浜体育館から来た人が集まる部屋で、知っている顔が隣にいるので、結構安心して寝たりできる空間なのでそこはありがたいです。 中村さんたちは仮設住宅の入居を希望している。しかし、七尾市で完成した仮設住宅はまだ140戸(3月末時点)、3カ月がたった今も、まだ復旧とは言いがたい状況だ。 中村さん: どんどん仮設住宅が建って、すぐ入れるのかなってイメージがあったんですけど、復興って早く進むものなのかなって思っていましたけど、違いました。 この震災で親子関係にも変化があったという。 中村さんの父・吉成さん: (震災前は)必要なことしか言わない。うるさいことを言うとうるさいと思われるから私もしゃべらないみたいな親子関係だったけど、いろんなことで相談しあうようになって心を開くようになったのかなと思います。 中村さん: どうでもいい話もするようになったし、震災がきっかけで友達みたいな一面も増えたので震災で深まった絆っていうのは僕は感じます。 「避難所の今」を発信し続けてきた息子を父の吉成さんは… 吉成さん: 自分ではできないことをやってくれていて助かっているなって思う。みんなから「いい息子さん」って言われてうれしいのが本音なんですけど、認めたくない自分もいて、素直になれない自分がいます
地震で「人と人のつながり」を学んだ
卒業式当日。 吉成さん: 「卒業おめでとう」ってことで良かったと思います。卒業証書をもらったときは卒業したんだなっていう実感がありましたね。 中村さん: これから社会人になって、学生っていう言い訳はできんくなってくるから自分で責任をとらんなん部分も出てくるので、そういった部分は頑張っていかんなんなと思います。地震で僕は人とのつながりの大切さを学んだので、そういった部分はこれから大事にしていって…大事にしていきたいと思いました。 被災地の「今」を全国に発信し続けた中村さん。震災を通じて人と人の絆の大切さを感じ4月から社会人として新たな一歩を踏み出す。 (石川テレビ)
石川テレビ