都内にある「巨大無人駅」東武大師前駅の裏側 スカイツリーラインの西新井駅から乗車2分、「改札機がない」終点
■東上線との連絡線として計画 かつて西新井駅の構内には同社最大の電車修理工場や変電所などがあった。現在の大師線は1931年、西新井―大師前間が西板線の一部として開業。西板線は西新井と東上線の上板橋を結ぶ路線として計画されたが、土地買収が進まずに完成しなかったという。 現在の西新井駅は3面6線。大師線はいちばん西側の1・2番線に発着する。下り線(東武動物公園方面)のホーム上では「西新井ラーメン」が営業しており、列車が到着してドアが開くと、匂いに誘われてついつい立ち寄ってしまう人も少なくないようだ。
西新井駅がユニークなのは同駅の出口改札とは別に「大師線のりかえ改札口」がある点。西新井駅の大師線乗り換え改札は1カ所で、大師線ホーム側に券売機がある。わかりやすく言えば、大師前の自動改札機と券売機が西新井に置かれている。 改札口には「大師前駅には改札はございません。きっぷはここで回収となります」との案内が書かれている。大師線には途中駅がなく、東武線の他駅から乗り換えても降りられる駅は大師前の1駅のみ。大師前に向かう場合は西新井で運賃支払い処理をし、大師前から乗った場合は西新井で切符を購入(入場処理)することになる。
一方の大師前駅には使われていない「ラッチ」が並んでいるのみで、ヨーロッパの駅のように出入りは自由。同駅からの乗客に向けては「大師前駅ではきっぷの発売は行っておりません。そのままお通りください。きっぷは西新井駅でお買い求めください」などといった案内がいたるところに掲示されている。 ■巨大な無人駅の裏側 3階にホームがある構造の大師前駅は無人駅にしては巨大だ。1面1線のホームはアーチ状の天井が覆う広い空間となっている。駅事務室の出札窓口はシャッターが閉ざされ、内部が倉庫などとして使われている一方、駅ビルには東武バスセントラルの営業所や耳鼻科クリニックなどが入る。駅前のバス停からは北千住と結ぶバスが日中でも10分に1本以上の頻度で発着する。