【思い出の宝塚記念】ゴールドシップ連覇にみた横山典弘騎手の矜持/2014年
[GⅠ宝塚記念=2024年6月23日(日曜)3歳上、京都競馬場・芝外2200メートル] 今週末はGⅠ宝塚記念が行われる。2013、14年と、当時としては史上初となるこの春のグランプリ2年連続制覇をしたのがゴールドシップだ。 希代のクセ馬として知られるこの芦毛馬だが、2連覇目の手綱を取ったのは横山典弘騎手。この時がレースでは初めてとなるタッグだったにもかかわらず、しっかりと仕事をしたのは〝さすが〟だが、当時、彼は次のように語っていた。 「いいタイミングで乗せてもらっただけです」 もちろんこの言葉を真に受けてはいけない。競馬では初騎乗だったが、レース前は3週にわたり美浦から栗東へ駆けつけ、新たなパートナーとのコミュニケーションを図っていた。さらに情報収集も怠らなかった。 「負けた時はどういう共通点があったか?等(主戦を務めた)ウチパク(内田博幸騎手)と話したし、須貝(尚介)調教師からクセも教えてもらいました」 それらにベテランらしいこれまでの経験を踏まえての騎乗で栄冠に導いた。それでも彼はかたくなに「自分の手柄ではない」と言った。 「調教で3回乗っただけで、これに当日の馬場状態とか枠順とかの後押しもあって勝たせてもらっただけ。普段からこの馬の相手をしている厩務員さんや厩舎のスタッフと比べれば、ほんの一瞬、携わっただけですよ」 今年のGⅠ日本ダービーをダノンデサイルで制した際も「短期間で立て直した厩舎のおかげ」と語っていた。これがダービー3勝ジョッキーの矜持なのだろう。(平松さとし)
東スポ競馬編集部