だからSMAPは国民的アイドルになった…冠番組「スマスマ」とそれまでのバラエティ番組との決定的な違い
■放送作家・鈴木おさむの妙案 「スマスマ」の売りのひとつも、そんな各メンバーの個性が発揮されたキャラクターコントである。番組の歴史を積み重ねるなかで、各メンバーそれぞれに当たり役と言えるキャラクターが生まれた。 初回には、木村拓哉扮する「古畑拓三郎」のコントがさっそく登場している。いうまでもなく、田村正和が演じた『古畑任三郎』のパロディ。1994年に始まった『古畑任三郎』シリーズ(フジテレビ系)は、いまも根強い人気を誇る刑事ドラマの名作だ。木村はこのシリーズの「赤か、青か」という回に犯人役で出演していた。 このコントが実現した裏には、放送作家・鈴木おさむの存在があった。 ラジオ番組で一緒だった木村のモノマネのうまさを知っていた鈴木は、「スマスマ」でメンバーによるショートコントをやろうと提案した。アイドルにちゃんとしたコントができるのかという懐疑的な意見もあったが、SMAP育ての親でもある番組プロデューサー・荒井昭博も木村の古畑のモノマネを見て、鈴木のアイデアに乗った。 いま改めて感嘆するのは、各コーナーや全体的構成など、初回にしてすでに番組の完成度が高いことだ。 ■「BISTRO SMAP」の初回ゲスト 「古畑拓三郎」に続くコーナーが、「BISTRO SMAP」。説明は不要だろう。初回ゲストは女優の大原麗子。オーダーは「昔風のカレー」。料理をするのは木村・稲垣ペアと森・草彅ペア。このときは、オーナーの中居以外の5人でローテーションを組むシステムだった。初回の香取はギャルソン役である。 中居が一人ひとりの名前を知っているか大原に尋ね、全員正解。「ちゃんと勉強してきたのよ、ンフフ」といたずらっぽく言う大原に笑いが起こる。大原に会いに来たという浅野ゆう子(翌週のゲスト)も一瞬飛び入り参加。下のフロアに降りた大原が料理を手伝う場面も。試食のとき、「腹減ってるから」「うまい、うまい」などと言いながら爆食いし、大原から「ひとりで食べてる」とツッコまれる中居らしさは、このときから全開だ。ちなみに初回勝者は木村・稲垣ペア。 料理で芸能人をもてなす番組がそれまでなかったわけではない。だが「BISTRO SMAP」の場合は、プロの料理人ではなくSMAPが料理をつくる意外性、中居がMCとなったトーク、香取の趣向を凝らしたコスプレの面白さなど、従来の類似企画にはない多面的な魅力があった。