インドネシア政府、債務比率をGDP比50%に向け引き上げも-関係者
(ブルームバーグ): インドネシアのプラボウォ次期大統領は国内総生産(GDP)に対する公的債務比率を徐々に高めることで、支出公約の資金を確保する方針だ。事情に詳しい関係者が明らかにした。
プラボウォ氏は今後5年間、対GDPの債務比率を毎年2ポイントずつ引き上げることを狙っているという。一度に債務を増やすのに比べ、漸進的な増加は次期政権の経済チームに逆風に適応する余地を与えるだろうと、非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。
これにより、プラボウォ氏が大統領として5年間の任期を終えるまでに債務残高がGDPの50%近くに達し、2004年以来の高水準となる可能性がある。
今年2月の大統領選を制した同氏は選挙期間中、公的債務を増やす可能性を示唆していたが、そうすることへのコミットメントやその方法の詳細はこれまで不明だった。
こうした動きは、投資家の信頼を維持するため保守的な財政政策を続けてきたインドネシアにとって、重要な転換を意味する。
インドネシア政府は、1997年のアジア通貨危機以来、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期を除き、対GDP比で3%の財政赤字と最大60%の債務比率を厳格に守ってきた。そのため、歳入の低迷が続いているにもかかわらず、投資適格の格付けを回復している。
関係者によれば、債務比率50%はインドネシアの財政健全化へのコミットメントに関し投資家の理解を得る最適な水準とみられているものの、60%を超えれば市場を警戒させる恐れがある。
これが現時点での計画だが、議論は続いており、提案は変更され得ると関係者は説明した。
次期大統領の経済担当移行チームのトーマス・ディジワンドノ氏は、プラボウォ氏は財政の慎重さを確保しつつ、現政権が設定した目標に沿って、自身のプログラム、特に食料・栄養プログラムをいかに2025年の予算に組み込むかに力を注いでいると述べた。「それ以上の話は単なる意見であり、われわれの正式な立場ではない」としている。