再戦勝てる?!村田諒太のWBA王座奪回計画を敵陣営が警戒
米国の専門機関のカウントによると昨年10月の試合でブラントは1262発のパンチを繰り出し356発を的中させたが、対する村田は774発中、180発だった。まるで軽量級並みの手数に加え、左回りを基本に、左右にも動き、決して同じ位置に留まらない巧みなステップワークに翻弄された。 その手数と動きをどう止めるか、がテーマである。 「前は棒立ちとなってポカポカ打たれ、ワンツースリーの3つ目のパンチで顔をはねあげられポイントになった。今回は棒立ちにならない。プレッシャーかけて上下を打つ。そこがキー」 反省を元に時間をかけてバランスを修正。この日のスパーでは、後ろ重心で受けに回るようなブラント戦の悪癖は出ず、非常に攻撃的なポジションにあった。 「ボクシングは相対的なもの。こっちがダメージを与えると手数は減ってくる。ガードを固めるだけのサウンドバック状態では、10回でも20回でも打たれる。今回は、そういうボクシングさせない」 村田の理論は間違っていない。 相手の手数を減らすには、前に出て、こちらの手数が増やすこと。相手を下がらせれば“見せパンチ”にポイントはつきにくいし、村田が、そこにボディを絡めていけば、ブラントはスタミナを消耗する。王者は、前回、事前にラスベガスで2週間のキャンプを張り、周囲が驚くほどのスタミナを12ラウンドまでキープしたが、これもボディから削られるような展開が中盤に一度もなかったからである。 もちろんスロースターターも返上する。 「はじめから行こうと思っている。スロースターターだと流れを持っていかれる。結果、判定になろうが、KOであろうが、流れはこっちが作っていく」 スパーでも当初、スロースターターの癖が出ていたが、意識して修正してきたという。 リベンジ戦略は明確なのだ。 だが、偵察したピピトーン・トレーナーは、そういう村田の戦略にも動じない。 「スパーを見た限りで言うと、前回よりも村田はパンチを多く打っていた。だが、それはそれだけブラントに隙を与えることなる。もっとブラントがパンチを打てるんじゃないか」 しかし、乱打戦になればパンチ力に勝る村田が有利だ。 それでもトレーナーは、「あの試合はエディ・ムスタファ・ムハマド氏とトレーナを組んで1試合目。今回で3試合目となりエディとブラントとの関係性も成長している。自信はある、同じ結果になるだろう」と断言。メイントレーナーである元WBA世界ライトヘビー級王者のエディ・ムスタファ・ムハマド氏が視察に同行しなかった理由を「ブラントは、村田が例えどういうことをやってきたとしてもすべてに対応できる準備をしている。エディは何も見るものはないということだ」と笑い飛ばした。