センバツ高校野球 常総学院の戦い振り返る 見せた成長、得た課題 /茨城
健大高崎(群馬)の初優勝で3月31日に閉幕した第96回選抜高校野球大会。春夏通算3度目の全国制覇を目指した常総学院は、2回戦で、2大会連続準優勝の報徳学園(兵庫)に1―6で敗れた。日程の順延などを乗り越えながら戦った常総ナインの今大会を振り返る。【川島一輝】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち ◇初戦、雨天で2日順延 雨天順延により、当初の予定から2日遅れで臨んだ1回戦・日本航空石川戦。最速149キロを誇るエース小林芯汰(3年)がマウンドに立った。前日の取材に「しっかり調整してきた中で日にちがずれ、少し不安な気持ちがある」と素直な心境を述べていたが、秋から習得に励んだ力感のないフォームから投げ込む直球と、「生命線」と表現するカットボールがさえた。初回を三者凡退で打ち取り、上々の滑り出しを見せた。 打線が六回に1点を奪った直後の守備では、中堅手の池田翔吾(同)が左中間の飛球をダイビングで好捕するなど、味方にも助けられた。この日の直球は最速140キロ前後ながら、コースを突く投球術で9回を119球で完封。島田直也監督(54)を「(今日は)小林に尽きる。(接戦でこのような投球を)正直見たことがなかった」とうならせ、大舞台で成長を見せた。 中1日で迎えた報徳学園戦。マウンドに上がったのは初戦と同じ、小林。直球の制球に苦しみ、ストライクを取りにいった変化球を捉えられ、五回までに5点を失った。秋の公式戦でチーム打率3割4分3厘とした打線は、報徳の1番・間木歩(3年)の前に沈黙。八回に片岡陸斗(同)が放った左犠飛による1得点で力尽きた。 ◇「つなぎの打線」夏こそ 夏に向けた課題は明確になった。 2試合で散発10安打と連打がなく、若林佑真主将(3年)は「試合にコンディションを合わせきれなかった」と悔やむ。守備では報徳学園に10安打を許した小林が「未熟さを感じ、寝ても覚めても悔しさが込み上げる」と話し、夏の目標は「最低でも甲子園出場」とリベンジに燃える。 一方、2試合とも5番に起用され、二塁打2本を含むチーム最多の計3安打を放った森田大翔(はると)(同)といった新戦力の台頭に希望も見える。秋に披露した「つなぎの打線」を再現できるかが今後の鍵となりそうだ。甲子園では疲れが残るエースに頼らざるを得なかったことが敗因の一つとなったが、メンバー入りを逃した大川慧(同)が直後の練習試合で好投し、2番手争いが活発化する兆しもある。 帰校した若林主将は、関東大会で競い、メンバーもよく知る健大高崎の優勝に「悔しい」と本音を漏らした。常総ナインは目標に向かって道半ば。「センバツ出場におごることなく、夏の甲子園優勝に向け、気持ちをリセットして日々練習したい」と決意を新たにした。