新型トヨタセンチュリー GRMNは“日本製超高級車”の伝統を打ち破る!!! 驚きの内容とは?
2024年1月12日から開催された「東京オートサロン2024」(千葉県・幕張メッセ)に、トヨタは新型「センチュリー」のGRMNバージョンを展示した。これまでのモデルとは大きく異なる過激な1台に込められた思いとは? 【写真を見る】新型センチュリーGRMNなどの細部(78枚)超豪華なインテリアにも注目!!!
ハンドルを握りたくなるセンチュリー
東京オートサロン2024で多くの来場者の興味をひいたのは、トヨタガズーレーシングが持ち込んだ新型センチュリーGRMNだ。2023年に追加発売されたクロスオーバー型のセンチュリーをベースにさらなる走りのよさを追求したコンセプトモデルである。 トヨタ自動車のモータースポーツ部門であるトヨタガズーレーシングが、自社のノウハウを活かして開発を手がけるサブブランドがGRMNだ。この名を、トヨタの頂点に位置づけられるセンチュリーに冠したというのが、クルマ好きの間で話題になっている。 東京オートサロン2024では「MORIZO GARAGE」といって、マスタードライバーを務めるモリゾウこと豊田章男会長が「これなら!」と、太鼓判を捺すスポーツモデルが並べられた。そのうちの1台である。 「そもそも、センチュリーはフォーマルな場にもっともふさわしいモデルとしてセダン型として開発されましたが、いっぽう、移動には『アルファード』や『ノア』のようなミニバンが便利なのも事実。両方の事情に知悉する豊田会長が“ミニバンを体験して以来、セダンに戻れない”というユーザーを対象に開発するように指示して作られたのがクロスオーバー型のセンチュリーでした」 トヨタ・ミッドサイズビークルカンパニーで、開発を指揮した田中義和主査は、まず背景を整理して語ってくれた。 「これからのエグゼクティブのためにショファーカーでも新しい価値を提供しようということで、デザインはクロスオーバー型。いっぽう、リヤにはパイプ構造のパーティションを設けて、トヨタとレクサス両方のプロダクトを合わせたなかでもっとも高いボディ剛性を実現し、静粛性と快適性を追求しました」 今回のモリゾウ仕様は、まず後席用のドアを新設計し、徹底的に乗降性を追求。アイシンとのコラボレーションで、トヨタ「コースター」の「グライドドア」のように、通常のミニバンのものよりさらに大きく開き、乗降性がよいスライド式を開発した。 モリゾウはそこで満足せず、さらに追求する。「クルマ好きなので、自分で操縦して楽しい仕様が欲しいよね、となりました」と、田中主査。 「そこで、トヨタガズーレーシングと共同開発しました。はたして、150km/hでレーンチェンジしてもフラットな姿勢を保ちます。エンジンの出力こそベースモデルと同等ですが、特性はメリハリをもたせ、スポーツモードではかなり楽しい操縦性を味わわせてくれます」 「マスタードカーキ」という専用色に、やはり独自の着色がされたグリルがそなわる。迫力のある外観からくるイメージを裏切らないドライバビリティを持つモデルという。 「とはいっても、センチュリー本来の目的を忘れていません。スポーツモードでは硬めのサスペンション設定になりますが、後席乗員のためにリヤコンフォートモードを設けて、これを選択すると、快適な乗り心地になります。いってみれば、シャキッとしながらやわらかい、そんな足まわりです」 センチュリー専任の「センチュリーマイスター」なるセールスエンジニアがいるトヨタ販売店で、センチュリーGRMNのオーダーをとる計画だという。グライドドアも不可能ではないけれど、時間はかかりそう。でもどうせなら、そこまでのセンチュリーが欲しくないですか?
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)