春の健康診断は、血圧より「尿検査」「眼底検査」の結果を見ないと命にかかわる…その意外な理由
気になるけど気が進まない、気が進まないけど気になる……健康診断には、誰もがそんな葛藤を抱えている。膨大な検査項目とややこしい基準値に惑わされず、本当に必要なものだけを見極めよう。 【まとめ】必ず確認したほうがいい…!健康診断の項目はこちら
じつは怖い「目」と「尿」
「私は兵庫県尼崎市役所の保健師として、4500人の市職員の健康診断を受け持っていたのですが、かつて尼崎市役所では、多いときで年間20人の職員が在職中に亡くなり、うち5人ほどが脳卒中や心筋梗塞でした。 そこで、定期健康診断の血管障害にかかわる項目で、基準値をオーバーしたものが多い順に職員を呼び出して、生活指導をしたところ、死者がゼロになったのです」 こう語るのは、尼崎で市民の病気を大幅に減らした「スーパー保健師」として知られ、現在は大阪大学医学部特任准教授を務める野口緑氏だ。 春の訪れは、健康診断シーズンの訪れでもある。「今年も血圧が高いって言われるのかな」「また運動不足だと叱られるのか」などと、憂鬱な気持ちになっている人も多いことだろう。 だが、自分を奮い立たせ、せっかく受ける健診を、単なる「体の通信簿」として見るだけではもったいない。病気を未然に防いで入院や手術を避けることができたなら、それは大きなトクになる。 一方で、膨大な検査項目をすべて気にするわけにもいかない。まずやるべきは「どの項目を重点的に見ればいいのか」の見取り図を作ることだ。 健診といえば、何はさておき血圧が気になる人が多いはずだ。高血圧の基準値については、このところ医学界でもさまざまな説が出ているし、多少は高くても大丈夫という医師もいる。その詳細はあとで触れるが、じつは健診で真っ先に見るべきは血圧ではない。前出の野口氏はこう言う。 「健診の項目の多くは、『血管の傷み具合』を知ることができるもので、これは自分では測ることができませんし、ふだん病院にかかって調べる機会も少ない。そうした項目の中でも、とくに注目してほしいのが眼底検査と尿タンパク検査です」