「規制へ大きな舵を切ってくれた」富士山静岡側も本格的な入山規制へ 課題も山積【どうなる?2025】
静岡放送
2024年の夏山シーズンからスタートした山梨県に続き、静岡県も2025年から本格的な富士山の入山規制を始めます。富士登山は新たな局面を迎えています。 【写真を見る】「規制へ大きな舵を切ってくれた」富士山静岡側も本格的な入山規制へ 課題も山積【どうなる?2025】 <東部総局 青島悠記者> 「新年を迎えた富士山本宮浅間大社です。富士山に登る多くの人たちで毎年賑わいますが、今年は規制導入で、これまでとは違った夏山シーズンを迎えそうです」 静岡県では、2025年から「入山料」の徴収や「夜間の通行」を制限する条例の制定を目指しています。具体的には、入山料は1人あたり4000円を徴収、さらに、山小屋の宿泊予約がある人を除き、午後2時から翌朝3時まで通行を規制しようというのです。現在、静岡県議会では議論を進めています。 <静岡県スポーツ・文化観光部 都築直哉部長> 「入山者に対し、ルール・マナーの事前学習の終了や午後2時以降の入山は山小屋の宿泊予約、4000円の入山料の納付などの条件とする内容で、条例等の骨子案を取りまとめた」 夏山シーズンの登山をめぐっては、山梨県が2024年、ひと足先に入山規制を導入しました。すると、課題だった夜間の弾丸登山者の数が2023年から95%も減少。さらに緊急搬送された人の数も4割以上減るなど、規制効果が大きく表れた結果となりました。 登山時間などの「事前登録」にとどまっていた静岡側も動き出したことに、山小屋の管理人も期待を寄せます。 <富士山表口八合目池田館 池田裕之さん> 「大きいところで言えば、やっぱりこの入山規制、弾丸登山について、今回大きな舵を切ってくれたは、山小屋としては僕らも一生懸命協力できるところはしていこうっていう考え」 <山梨県 長崎幸太郎知事> 「通行料につきましては、1人1回4000円に引き上げたいと考えている」 この静岡の動きに対し、山梨側もさらに見直しを行い、結果として両県の足並みがそろう形になりました。その一方で、登山客を迎える側からはこんな本音も。 <池田さん> 「山小屋全体で不安なのはやっぱりお客が減ること。収入となるのはやっぱりお客さんだから、そこがやっぱり減ってくるっていうのはやっぱり怖い」 まだまだ、課題も多い富士登山の規制導入。静岡県も柔軟に対応していきたいとしています。 <静岡県富士山世界遺産課 大石正幸課長> 「課題全部いきなり解消できるっていうふうには、なかなか難しいかなっていうところは感じている部分もある。数年かけて静岡県として望ましい入山管理というか、規制のあり方っていうことを山梨県とも一緒になって考えていくのかなっていうふうに考えている」
ようやく始まる入山規制ですが、登山口が吉田口1つだけの山梨に対し、静岡側は富士宮、御殿場、須走と3つあり、さらに静岡の場合は、小さな登山道のどこからでも入山できる環境のため、どこまで厳密にできるのかなど、まだまだ越えねばならない壁はいくつもあります。まずは足並みをそろえて前に進むことで、よりよい富士登山のカタチがみつかるのではないでしょうか。 静岡・山梨両県はそれぞれ、2月の県議会に条例案を提出する方針です。富士山の未来を見据えた取り組みが、どのような成果をもたらすのか、注目が集まります。
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