「他人は地獄だ」監督の児玉和土が八村倫太郎・柳俊太郎・岡田結実の魅力を語る
八村倫太郎(WATWING)と柳俊太郎がダブル主演を務める映画「他人は地獄だ」より、監督・児玉和土がキャストについて語るインタビューコメントが到着した。 【画像】舞台挨拶にて、柳俊太郎から何度も「かわいい」と言われて照れる八村倫太郎 ヨンキによる韓国発の同名Webコミックをもとにした本作は、地元での生活に閉塞感を覚えていた青年ユウが、上京を機に格安シェアハウス“方舟”に入居するところから始まるサスペンスホラー。八村がユウ、柳がえたいの知れない男キリシマを演じ、岡田結実、三浦健人、青木さやか、大倉空人(原因は自分にある。)、萩原聖人もキャストに名を連ねた。 八村について、児玉は「目を細めて人懐っこく笑っている姿は同年代のどこにでもいる青年ですが、時折こちらが少し心配になるような気難しく神経質そうな顔をしていることもよくあるし、こちらがドキッとするような凛々しい表情をしている瞬間もあります」と印象を語る。演技経験が浅い中で身体的・精神的にハードなシーンが多かった八村への不安は撮影初日に消えたといい、「脚本を読み込む知性とそれを演技に昇華する身体性」「陰には並々ならぬ努力があっただろうし、プレッシャーもあったと思います」と述懐した。 児玉は柳の“安心できない”まなざしにも言及。「何かを見ているけど何も見ていないような、捉えどころのないアンビバレントな空虚さを感じますし、少し大げさに言うと触れてはいけないような超越性すらも漂っている。それが今回のキリシマという存在とうまくマッチしたのではないかと思っています」とコメントした。また「プランをもって目指すところに着実に進めていくようなタイプなのかなと思います」とも話している。 ユウの恋人・メグミに扮した岡田に関しては、「いつも場を明るく盛り上げてくれる存在ですが、その光に時折見え隠れする影の部分が映画の作り手としては気になります」と述べる。岡田の“目の表情”は「ホラー映画映えする」と言い、シーンによっては「あまり見開かないでください」とお願いするほどの印象の強さだったと振り返った。 このたび原作の「他人は地獄だ」をもとにしたLEDA GAMES製作の謎解きゲームより、映画「他人は地獄だ」版のブラウザゲームが2025年1月13日までの期間限定で無料配信が開始された。ゲームには、ユウとキリシマがミニキャラになって登場する。 「他人は地獄だ」は、11月15日に東京・グランドシネマサンシャイン、全国のイオンシネマほかで公開。 ※柳俊太郎の柳は木へんに夘が正式表記 ■ 児玉和土 インタビューコメント □ 八村倫太郎について 八村倫太郎の魅力 八村さんはWATWINGのメンバーとして歌にダンスに華がありながらも、普通の青年っぽさもある、けれどもその「普通っぽさ」が「普通ではない」ところが魅力だと思います。目を細めて人懐っこく笑っている姿は同年代のどこにでもいる青年ですが、時折こちらが少し心配になるような気難しく神経質そうな顔をしていることもよくあるし、こちらがドキッとするようなりりしい表情をしている瞬間もあります。 おそらくはその全てが「八村倫太郎のリアル」なんでしょうが、スッと入った建物がなかなか出られない迷宮になっていたような……奥深さのある魅力を感じます。 撮影中に印象に残った出来事 八村さんとの印象的なやりとりは書ききれませんが、とりわけ印象的だったのは撮影初日です。八村さんには、最初キャスティング前に会議室で会った時から、普通の青年っぽさの中にも、ヤンチャそうな感じや気難しく繊細そうな感じが見えて来て、ユウ役にピッタリだと思っていました。それゆえに出演をオファーしたわけですが、今作は身体的精神的にハードなシーンも多く、八村さんはまだ演技経験がそれほどないということでこちらに当初不安があったことも確かです。けどその不安は撮影初日で消えたことを覚えています。脚本を読み込む知性とそれを演技に昇華する身体性……八村さんは表面的には見せませんが、映画で主演をやるということは本当に大変なことで、陰には並々ならぬ努力があっただろうし、プレッシャーもあったと思います。2番目に印象的だったのは初号試写で、八村さんの、恥ずかしそうにそそくさと帰っていった、どことなく微笑ましい姿でしたが自信を持って、八村さん演じるユウについては、観客の方々にその姿を是非スクリーンで見届けてもらえればと思います。 □ 柳俊太郎について 柳俊太郎の魅力 柳さんは誰もが認める美男子で抜群のスタイル、本人もそれを言われることにはたぶんもう辟易していると思いますが、柳さんの最大の魅力は眼だと思います。柳さんはどことなく「安心できない」まなざしを持っています。それは暴力的であるとか狂気を感じるとか単純に危険ということとは違っていて……柳さんのまなざしには、何かを見ているけど何も見ていないような、とらえどころのないアンビバレントな空虚さを感じますし、少し大げさにいうと触れてはいけないような超越性すら漂ってもいる。それが今回のキリシマという存在とうまくマッチしたのではないかと思っています。そんな空虚なまなざしに作り手としては「どんな色に染めようか」と刺激を与えてくれる俳優だと思います。 撮影中に印象に残った出来事 俳優としての柳さんの魅力は話した通りですが、会話してみるとご本人はいたって普通の「気のいいあんちゃん」という感じです。撮影中の演技については決定した方向性にしたがって、淡々とこちらの演出に応えて進めてくれました。色々なタイプの俳優の方がいますが、プランをもって目指すところに着実に進めていくようなタイプなのかなと思います。けれどもキリシマとユウが、シェアハウス「方舟」で最終的に対峙する難しいシーンの撮影の時でした。カットとカットの合間のセッティング中に(私は俳優の休憩中の様子は普段は特に気にしていないのですが)、風向きのせいなのか、メイクの直しを受ける柳さんの声が聞こえて来ました。そのとき柳さんはヘアメイクさんに「ここはこう思ったからああしてみたんだよね」「けどこれは違うかなと思って」といった感じで、色々とあみだくじをたどるような演技の試行錯誤を語っていました。そのアプローチのプロセスを聞くことができて興味深かったし、柳さんの迷いのようなものも聞いて、なぜかうれしくなったのを覚えています。 □ 岡田結実について 岡田結実の魅力 岡田さんはテレビのバラエティ番組ではお馴染みで、特に昨今はいつも場を明るく盛り上げてくれる存在ですが、その光に時折見え隠れする影の部分が映画の作り手としては気になります。 だからテレビのイメージを逆に利用して、盛大に裏切ってやろうとあまのじゃく的に考えたくなりますが、今回はストーリー的になかなかそうできなかったのがどこか心残りです。 岡田さんはとりわけ眼の表情が豊かで、ホラー系の作品が多い私としては、岡田さんの大きな眼はうまく演出できれば、非常にホラー映画映えすると魅力的で、いつかそんな作品が現れるだろうと思っています。 撮影中に印象に残った出来事 岡田さんが演じるメグミ役は今作のメインどころで唯一と言っていいほど普通の役柄で、ナチュラルに演じてもらうことができたのではないでしょうか。撮影で印象に残っているのは、岡田さんは確か撮影初日が、廃墟のような荒れた建物で半日ずっとベッドに寝ているだけ……というシチュエーションで、何か申し訳なく思ったのを覚えています。 また、先ほどの岡田さんの眼の大きさについて続きますが、最初の方の、メグミの部屋をユウが訪ねて来て会話するシーンで、岡田さんが何気ない会話の中で気持ちが入ると眼を少しだけ見開くのですが、その「少し」でも私個人的には眼の大きさが際立つと「怯え」が感じられて、それで「あまり眼を見開かないでください」と何回もお願いしたのが記憶に残っています。 (c)ヨンキ/LINE Digital Frontier・2024 映画「他人は地獄だ」製作委員会