狂気の不倫ドラマに出演する20歳俳優の父親は“まさかの人物”。笑ったときのエクボが似てる
ジャンルレスに予想を超えてくる才能
野村康太? 初めて聞く名前だった。どうやら沢村一樹の息子だと言うが、確かにイケメン研究にはもってこい。どこから見ても純度100%ぶっちぎり具合ではないか(!)。 でも待ってくれ。極めて清新な第一印象を受けた若手俳優が出演する最新作だよね。主人公の復讐心と連動するあまり、松本まりかの演技自体が狂乱する寸前で踏みとどまる。刃物のような狂気が恐怖の材料としてひたすら煮込まれる、そんな不倫ドラマの鍋の中に、野村康太が丸腰で投げ込まれて大丈夫か? では、実際の画面上で野村康太は、どう写っているのか。初登場は、第1話のちょうど中盤。これが驚いた。その瞬間は、不倫ドラマらしくハラハラさせる疑念の場面として活写されている。不倫ドラマだろうが何だろうが、ジャンルレスに予想を超えてくる才能がある。
不倫とBLで効果は倍々かと思ったら……
松本まりか扮する主人公・如月みのりは、冒頭からモノローグで、「幸せ」の一語を繰り返す。夫・如月勇大(竹財輝之助)と息子との幸せな生活は、何としても守らなければならない。みのりにとっての幸せとは、強迫観念でさえある。 ある朝、出勤した勇大が忘れていったスマートフォンの通知を見て、みのりは不倫を疑う。疑念はすぐに確信に変わる。勇大が通知の相手と待ち合わせる場所で張り込む。どんな女性がやって来るのかと思ったら、相手は男性。しかも高校生。 それが野村扮する三宅渉だ。みのりは、目を見開いて「男」と驚きの声をもらす。勇大と渉は、待ち合わせ場所のジュエリー店に入り、ニコニコしながら勇大が渉の首元にネックレスをあてたりする。仮に自分の夫が、同性愛者だとして、でもさすがに高校生はマズいんじゃないか。 夫が同性の恋人を作っていた不倫ドラマだと、堀田茜主演の『私と夫と夫の彼氏』(Paravi、2023年)がある。BLドラマと不倫ドラマが各クールで量産されるテレビドラマ界の現行トレンドからすると、(単純な理論だが)両ジャンルの掛け合わせ効果は倍々。