昔懐かしい駄菓子店「余田商店」 童心返れる憩いの場 連載”まちの世間遺産”/兵庫・丹波市
当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、昔懐かしい駄菓子店「余田商店」(丹波市市島町酒梨)です。 レトロな情緒あふれる店には、安価な約300種類の駄菓子がずらりと並び、小銭を握りしめてやってくる地元の子どもたちでにぎわう。店を営む余田康夫さん(63)は「子どもたちが楽しい思い出をつくり、喜んでくれる姿を見られる。それだけが楽しみ」と頬を緩ませる。
なじみのある10円台のガムなどの他、当たり付きの駄菓子も人気。スーパーボールや立方体の立体パズルといった玩具や、アイスやジュースなども充実している。土・日曜日限定で、調理師免許を持つ康夫さんが作るたこ焼きも販売する。 創業115年。当初はたばこやしょうゆ、酒、魚などの食料品を売っていたという。康夫さんの父・貞夫さんの代でスーパーが台頭。店は三輪小学校の目の前にあり、子どもの憩いの場になればと、徐々に駄菓子の品数を増やした。
かつて店のある通りは商店街として栄えたが、高齢化や後継者不足などで衰退。店が減った中、農作業の合間に立ち寄るお年寄りもいる。余田商店のインスタグラムなどで知り、県内外からはるばる足を運ぶ人も多く、大人も童心に返る場所として親しまれている。 来年度末で三輪小の閉校が決まっており、地域と店にとって分岐点を迎えようとしている。康夫さんと店を営む妻の典子さんは「どこまでできるか分からないが、子どもたちが来てくれる限りは店を続けたい」と話す。不定休。
丹波新聞社