トップレベルのバレーボール選手のサーブ、マシンで再現へ 1年かけて、プロの選手も驚く性能を
岡谷市内に主力工場を置く内燃機関部品製造のTPR(東京)が、バレーボール用のサーブマシンを独自に製作した。バレーボールVリーグ1部(V1)男子のVC長野トライデンツのスポンサーになっている縁で開発した。改良を重ね、トップレベルの選手に対応した初速度120キロを目指す。マシンは今後、チームや地域のスポーツチームに貸し出す方針だ。 【画像】工場近くでサーブマシンを稼働させ、性能を確認
開発に着手したのは1年ほど前で、TPR側からマシン製作を打診した。技術課次長の小山昌美さん(51)と解析担当の技術者に加え、TPR社員でVC長野トライデンツ選手の中村啓人さん(24)=技術企画室=と、藤原奨太さん(25)=製品開発部=の計4人が携わった。
マシンは高さ約3メートル。上部にボールを投入し、上下についたローラーの高速回転でボールを押し出す仕組み。小山さんが設計したマシンを、中村、藤原の両選手が工場の駐車場などでレシーブするなど実際に使って確かめ、改良を重ねてきた。
「人の手首のスナップとローラー回転ではサーブにも違いがでる」と中村選手。TPRがエンジンピストンの動きを解析する際に用いるハイスピードカメラを使って、サーブを打つ選手の動きを観察し、マシンの性能向上に役立てた。マシンは昨年11月からVC長野トライデンツの練習で使い始めた。
マシンによるサーブ初動の最高速度は110キロ。小山さんによると、当初は5秒ごとの間隔でボールを打ち出す性能目標を設定したが、現時点で3秒ごとに打ち出せるという。藤原選手は「何球入れても止まらない。ポンポンとボールが飛んでくる」とマシンを活用した練習の質の向上に期待する。
練習で使った他の選手達からもマシンの現状の性能や、初速度120キロの目標に驚かれたという。小山さんは「選手の忌憚(きたん)のない生の声を聞きながら開発を進められた。これからも要望に応えていきたい」と意気込む。
中村選手は「今までものづくりに携わることはなかったが(開発は)壁にぶち当たることも含めて楽しかった」と笑顔。藤原選手は「マシンを使って選手みんなで強いサーブに堪えられるようにしていきたい」と話している。TPRはVC長野トライデンツの練習に限らず、地域のスポーツチームなどにマシンを貸し出す予定という。