カンボジア拠点の特殊詐欺、「中国人が指示」 佐賀地裁で初公判、検察側が指摘
カンボジアを拠点とした特殊詐欺事件を巡り、佐賀県警に逮捕され、詐欺罪に問われた無職の男性被告(48)=大阪市淀川区=の初公判が10日、佐賀地裁(岡﨑忠之裁判官)で開かれた。検察側は、被告が現地で中国人の指示を受けていたことや、ホテルの一室に「オフィス」を設けてSNS(交流サイト)を悪用した詐欺が組織的に行われた実態を明らかにした。 検察側の冒頭陳述によると、被告は知人から通訳業務を紹介されて2022年9月にカンボジアに入国。中国人の指示で投資などに関する日本語の文面を訂正する作業をしていた。オフィスには中国人が100人以上いて、それぞれの机にパソコンを備えていたという。 また、詐欺グループは被害者をSNS上のグループ「資産運用教室」に追加するなどしていて、被告は中国人が日本語で送っていたメッセージの誤りを送信前に正していたことも検察側は挙げた。その上で「詐欺の一端を担っていることを認識していた」と指摘した。 起訴状によると、数人と共謀して昨年4月、鳥栖市の40代男性にSNSを通じてFX(外国為替証拠金取引)の投資話を持ちかけ、20万円を送金させてだまし取ったとしている。 被告は認否に関して留保した。弁護人は取材に対し、「(被告は)被害者に直接メッセージを送っておらず、全体像は知らされないまま一部の翻訳作業をしていた」と説明した。