国立科学博物館に“約9億円”集まる なぜ資金難に…窮地に立たされた“大きな2つのダメージ” 【#みんなのギモン】
■調達した資金は新しい収蔵庫などに
では、その資金がどのように使われるのか。 6日の会見で国立科学博物館の篠田館長は「まだ詳細はいえない」と話していましたが、「おおまかに6億円分ぐらいは事業の経費に使う。残り3億円ぐらいはクラウドファンディングの返礼品などのお金に充てる」と話していました。 特に大きいのは新しい収蔵庫をつくることです。これまではとにかく資金が足りないので、標本などが整理できない状態でしたが、貴重なものが本来のあるべき姿で、本来望ましい環境のもと保管されることになります。
■国の支援は? 館長“5万人に支援していただいたのは実績”
ここまでは「よかった」とみんな思っていますが、ここで終わってはいけない話です。そもそも科学の殿堂といえる施設が、こういう状況に陥っていかなければならなかったのか、そこをみなさんにもおかしいと思ってほしいと思います。
ここで2つめのポイント「“寄付頼み” 国の支援は?」をみていきます。 文化財の保護などに国がどれだけお金をかけているかを比較してみました。(2020年度 文化庁資料より) フランスは約4620億円で政府予算に占める割合の0.92%でした。韓国は約3438億円で占める割合は1.24%。アメリカは国の予算に占める割合が1803億円で0.04%と小さいですが、民間の寄付がすごく多い国なのでかなりまかなえています。 日本は1166億円で比率としても0.11%です。「文化立国」や「科学立国」というのであれば、「どうなのでしょうか」という水準だと思います。 科学博物館も、そもそも国が必要な資金を補助していればこういう事態にならなかったのではという考え方もあります。館長はこのように話していました。 国立科学博物館 篠田謙一館長 「5万人に支援していただくというのはある意味、実績だと考えています。もっと資金があればもっといろんなことがやれる、その能力があると自分たちで思っていますし、実際それを示してきたと考えているわけです。ですから、その部分は(国に)お認めいただきたいと」 博物館の存在の大きさを改めて感じる出来事でしたが、科学や研究、文化にどれだけお金をかけるかは、国の本当の豊かさを示す1つの指標ともいえます。今回の出来事が、国においては、多くの国民が支えた美談としてだけでなく、予算のありかたへの異議申し立てとも受け取ってほしいと考えます。 ◇ 私たちにとっては「楽しい」「おもしろい」だけではなく、行けばなにより新しい発見も得られますし、行くことが博物館の維持・発展につながるというのも今回よくわかりました。今こそ博物館を訪ねる意味をみなさん、一人ひとり心したいと思います。 (2023年11月6日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
●あなたの身の回りの怒りやギモンをお寄せください。 お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。 #みんなのギモン https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html