持続可能な「森」育てるボードゲーム デザインにもこだわって開発
岐阜県内で誕生したボードゲーム「FOREST BALANCE GAME」が、今年のウッドデザイン賞優秀賞の「林野庁長官賞」とグッドデザイン賞を受賞した。ポップなイラストと森林や林業の写真を織り交ぜ、自由な発想で子どもが森づくりを疑似体験できるゲームデザインが高く評価された。 【写真】「FOREST BALANCE GAME」を使って森づくりの研修を受ける人たち=2024年11月27日午前10時56分、岐阜県各務原市那加雲雀町、松永佳伸撮影 ■林業に興味持ってもらえるように 開発したのは、「飛驒五木」=高山市=が運営するウェブメディア「響hibi―ki」編集部=各務原市=の若手社員たち。編集部は、木材を使った遊び場施設の企画や建設、運営を手がけるほか、全国の農山村や林業の現場などを取材し、情報を発信している。 ゲームの発案者の一人、田中菜月さんは学生時代、林業について触れる機会が少なかったという。そこで、子どもが林業に興味を持つきっかけとして、「何か面白そう」と感じてもらえるようなボードゲームづくりに乗り出した。 林業関係者や農林高校の協力を得て、ゲームは昨年4月に完成した。推奨年齢は小学5年生以上で、プレー人数は2人から。所要時間は約15分だ。 対戦形式で、手持ちの通貨を使って林業に必要なチェーンソーやショベルカーなどを購入。その道具で育林や間伐をしながら森を育てていく。 獣害や自然災害への対策、最新技術の導入など、森で働く具体的な姿が分かるように示し、環境と経済のバランスを取りながら、持続可能な森づくりをめざす。 編集部は、ゲームを使って県内外の高校・大学への出張授業や社員研修などを展開。より内容を伝えやすくするため、デザインを一新した。 ゲームで使うアイテムは、国産のスギ材を使った木箱に収納する。香りや手触り、木目の美しさなど五感で木を感じる工夫をした。テキストブックはリソグラフ印刷を使って色彩や手触りにこだわった。森から木が運ばれる流れや、森林を取り巻くまちの様子をボードに詰め込み、イラストで楽しくデザインした。 ゲームの販売価格は税込み1万3200円。レンタルや出張授業の依頼、問い合わせはメール(info@goboc.jp)で受け付けている。
朝日新聞社