トヨタの認証不正、海外での型式指定の対応は? 6車種はイギリスやベルギーの認可を相互承認
新たに7車種の不正が判明したトヨタ自動車による型式指定申請に関する不正行為。このうち6車種(過去生産車を含む)は、イギリスまたはベルギーで型式指定の認可を受けて、日本で生産・販売を行っていた。このため国土交通省は7月31日、各当局に不正概要などを通知し、基準適合性の確認を要請した。 トヨタが追加発表した不正行為と対象車種の一覧 国交省の調査結果によると、RAV4の積荷移動防止試験では、量産とは異なる仕様のリアシートのロック機構や、規定された積荷ブロックと異なるブロックを使用していた。また、ハリアーでは、ポール側面衝突試験で量産とは異なる仕様のドアフレームを使っていたことがわかった。 6車種の認可は、「プリウスα」の過去生産車がイギリス、「レクサスRX」「カムリ」の過去生産車と「RAV4」「ハリアー」「レクサスLM」の現行生産車はベルギー、とそれぞれの当局で受けている。基準適合性の確認などは、型式指定の認可を出した当局が行うことになっており、確認結果に基づいて、各当局がトヨタに対する対応を判断することになる。また国交省は、各当局による今後の判断を踏まえて、必要があればトヨタに対して追加措置を講じる可能性もあるという。 世界の自動車の構造と装置の安全・環境に関しては、国連が統一基準(UN規則)の策定と認証の相互承認を図る多国間協定として「1958年協定」を定めている。同協定には、日本をはじめ55カ国1地域(2023年1月現在)が加入している。 同協定の締約国は、UN規則を任意に適用することができる。本来は各国ごとにそれぞれ認証のための試験や手続きを行う必要があるが、認証の相互承認が可能となることで、同じUN規則を適用している他国での認証手続きが不要となる。 自動車は量産される国際商品だけに、相互承認は時間短縮やコスト削減などにつながるメリットがある。ただし、相互承認によって他国による型式指定の認可を受け入れた後、今回のような問題が発生した場合には、受入国は認可した発行国に対してその問題点を通知し、発行国は直ちに問題解決の処理を行うことが義務づけられている。 (平野 淳)